保安院、放出された放射性物質の量を上方修正

原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質の量について、これまでの37万テラベクレルから77万テラベクレルに修正した。まあ、2カ月以上にたって「実は炉心がメルトダウンしてました」というぐらいだから、いまさら驚きもしない。

ただ、注目すべきは、原子力安全委員会が原発周辺で計測された放射線量などから放出量の逆算したのにたいして、「保安院は炉内の状態から試算」したという記事。つまり、原子力安全・保安院は、4月上旬になっても、なお炉心の状態について正確につかむことが出来ていなかった、ということだ。もちろん、現在、性格につかんでいるかどうかも分からないが。

炉心の状態が正確に分かってないなら、そりゃ、やることなすこと、うまくいくはずもない。まずは、東京電力に全部生データを出させて、全国の研究者や専門技術者の英知を結集して、いま炉心がどうなっているか、それをはっきりさせるべきだろう。それなしには、「その場しのぎ」以上のことは不可能。事故収束などおぼつかない。

東日本大震災:放射性物質77万テラベクレル 保安院、総放出量を上方修正:毎日新聞

東日本大震災:放射性物質77万テラベクレル 保安院、総放出量を上方修正

[毎日新聞 2011年6月6日 東京夕刊]

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質の総量について、これまでの37万テラベクレル(ベクレルは放射線を出す能力の強さ、テラは1兆倍)から77万テラベクレルへと上方修正する解析結果をまとめた。内閣府原子力安全委員会の推計の63万テラベクレルに対し、過小評価との指摘が出ていた。安全委員会に報告したうえで、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する日本政府の報告書にも盛り込む。
 総放出量は4月12日、国際原子力事象評価尺度(INES)でチェルノブイリ原発事故(総放出量520万テラベクレル)と同じ最悪のレベル7に引き上げた際、保安院と安全委員会が発表した。
 安全委は原発周辺で計測された放射線量などから、4月5日までの間の大気中への放出量の逆算を試みた。一方、保安院は炉内の状態から試算。今回の見直しでは、2号機、3号機の爆発後の放出量を加えるなどした。INESでは、数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出がある場合をレベル7と定め、上方修正でもレベルは変わらない。【足立旬子】

ところで、原子力安全・保安院は、放射性物質の排出量を修正しただけでなく、福島第一原発1〜3号機の新しい解析結果も発表し、1号機、2号機のメルトダウンが東京電力の解析より早く起こっていたと主張。そして、「保安院は『より実態に近い』と語った」そうだ。東京電力より自分たちのほうが信用できるぞ、ということだろう。

しかし、その発表は、かの斑目原子力安全委員長に「このままで研究者が再現できるかは疑問」と一蹴されてしまった。解析結果が研究者に再現できるかどうか分からないとはどういうことか? 要するに、保安院が新しく発表した解析結果も怪しいということだ。

保安院は、ムダな解析をくり返さず、まず生データそのものを発表すべきだ。解析や評価は、政府からも企業からも独立した規制機関にまかせるべきだろう(世の中には、「原子力村」から村八分にされている研究者もいる)。

福島第1原発:1、2号機炉心溶融 「東電解析より早期」:毎日新聞
「より分かりやすく」=保安院解析に苦言も―原子力安全委員長:時事通信

福島第1原発:1、2号機炉心溶融 「東電解析より早期」

[毎日新聞 2011年6月6日 21時58分 更新:6月6日 22時48分]

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、地震直後の東京電力福島第1原発1?3号機の様子を解析した結果を発表した。東電の解析に比べ、メルトダウン(炉心溶融)は1号機で10時間、2号機で29時間早く、1日以上早く放射性物質の放出が始まった可能性がある。3号機では東電の解析より事故の進行は遅かった。両者の差は解析方法の違いだが、保安院は「より実態に近い」と語った。一方、放出された放射性物質を、圧力抑制プールが損傷した2号機で過小評価があったとして、従来の37万テラベクレル(テラは1兆)を77万テラベクレルに修正した。
 全電源喪失で冷却機能が失われ、1号機で燃料の損傷が始まったのは3月11日午後6時ごろ(地震発生3時間後)で、東電の解析より1時間早かった。東電が「同12日午前6時ごろ(同15時間後)」としていた圧力容器の破損時間は同11日午後8時ごろ(同5時間後)と推定し、その前にメルトダウンした可能性がある。
 2号機の燃料損傷の開始は東電とほぼ一致したが、圧力容器の破損時間では「同14日午後10時50分ごろ(同80時間後)」と推定した。東電の109時間後より29時間早まった。
 3号機の燃料の損傷は同13日午前10時20分ごろ(同44時間後)、圧力容器の破損時間は同14日午後10時10分ごろ(同79時間後)に始まり、東電の解析より2?13時間遅い。
 解析結果は、国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に提出する日本政府の報告書に盛り込まれる。【中西拓司、平野光芳】

「より分かりやすく」=保安院解析に苦言も―原子力安全委員長

[時事通信 2011/06/06-22:13]

 国の原子力安全委員会の班目春樹委員長は6日、臨時会議後の記者会見で、経済産業省原子力安全・保安院による福島第1原発の炉心解析結果について、「より分かりやすい資料に直してもらいたい」と注文を付けた。
 班目委員長は「このままで研究者が再現できるかは疑問。国民、世界に対して『こういうことが起こっていた』というのが分かる必要がある」と指摘。解析の計算条件なども明記するよう求めた。

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