既存の全原発「廃炉」をめざすべき82%

本日の「東京新聞」にも大きく掲載されていましたが、「日本世論調査会」の実施した全国世論調査で、全国54基の原発について、82%の人が「廃炉」(「直ちにすべて廃炉」9.4%、「定期検査に入ったものから廃炉にする」18.7%、「電力需給に応じて廃炉を進める」53.7%)を求めていることが明らかになった。また、原発に「不安を感じる」人が9割をこえている。

原発廃炉推進が82% 全国世論調査、3人に2人新増設反対:中国新聞

この世論調査は、母数が1800あまりと、通常の新聞の世論調査よりやや多いことと、電話ではなく面接方式で調査していることが特徴。

それはさておき、まず第1に、原子力発電について、93.6%の人が「不安を感じる」と回答している(「大いに不安を感じる」65.1%、「ある程度不安を感じる」28.5%)。それにたいし、福島原発事故以前から「不安を感じていた」と答えているのは42.7%[1]で、事件の衝撃の大きさを物語っている。そして、福島原発事故で国民が強く感じているのは、「国の原子力安全規制の体制が信頼できない」58.7%、「国や電力会社の情報が信用できない」51.1%、「電力会社など事業者の安全意識が足りない」47.5%などとなっている。

こんごの原発の新増設については「新設、増設はしない」が67.2%を占めて圧倒的。既存の原発については、上で紹介したとおり、「直ちに全て廃炉にする」9.4%、「定期検査に入ったものから廃炉にする」18.7%、「電力需給に応じて廃炉を進める」53.7%で、81.8%が「廃炉」を求めており、「現状を維持する」は14.1%。「電力需給に応じて」というのも、下にあるように、80.4%は供給電力が減ることを受け入れているのだから、「ある程度の代替エネルギーのめどをつけながら、順次廃炉にしていく」といった意味の回答とみるべきだろう。

原発を止めると電力不足になるという議論については、82.6%が「不安がある」と答えながらも、80.4%が「受け入れられる」と答えており、「電力不足を避けるために原発は必要だ」という議論は世論の支持を得られていない。

原発廃炉推進が82% 全国世論調査、3人に2人新増設反対

[中国新聞 2011年6月19日]

 中国新聞社加盟の日本世論調査会が今月11、12日に実施した全国世論調査によると、国内に現在54基ある原発について「直ちにすべて廃炉にする」「定期検査に入ったものから廃炉にする」「電力需給に応じて廃炉を進める」とした人が合わせて82%に上り、「現状維持」の14%を大きく上回った。回答からは、福島第1原発事故が収束せず、その後の対応をめぐる政府、東京電力の不手際が指摘される中、国が推進してきた原発政策への不信感の強さが浮き彫りになった。
 事故前後での原発に対する不安について聞いたところ、事故前に「大いに不安を感じていた」「ある程度感じていた」は計43%だったのに対し、事故後は計94%と倍増。今回の事故が与えた心理的変化の大きさを裏付けている。
 政府がエネルギー基本計画で掲げていた「2030年までに原発14基以上を新増設する」との方針については、67%が「新設、増設するべきではない」と回答。「14基より減らすべきだ」は22%で、「方針通り進めるべきだ」は6%だった。
 一方、現在運転中の原発の安全対策については「運転を続けて定期検査で対応するべきだ」が54%で「直ちに止めて対応するべきだ」の38%を上回り、政府の要請で運転停止した浜岡原発のような“非常手段”よりも、日常生活への影響も踏まえた現実的な措置を求める声が強かった。
 また、今後重点的に取り組むべきエネルギー分野(2つまで回答)では、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが84%でもっとも多く、次いで水力45%、天然ガス31%と続いた。原子力は7%で、石油、石炭(各4%)を上回った。
 原発事故のニュースを聞いて感じたこと(同)では「国の原子力安全規制の体制が信頼できない」が59%でトップ。「国や電力会社の情報が信用できない」が51%で続き、「電力会社など事業者の安全意識が足りない」が48%だった。
 【注】小数点1位を四捨五入した。

原発・エネルギー世論調査の詳報

[東京新聞 2011年6月19日付]

問1 あなたは東京電力福島第一原子力発電所事故で、原子力発電について不安を感じますか。

大いに不安を感じる       65.1
ある程度不安を感じる      28.5
あまり不安を感じない      5.2
全く不安を感じない      0.6
分からない・無回答       0.6

問2 あなたは福島原発事故以前、原発について不安を感じていましたか。
大いに不安を感じていた     16.5
ある程度不安を感じていた    26.2
あまり不安を感じていなかった  36.3
全く不安を感じていなかった   20.2
分からない・無回答        0.8

問3 福島原発事故のニュースを聞いて、あなたは何を強く感じましたか。二つまでお答えください。
国の原子力安全規制の体制が信頼できない   58.7
電力会社など事業者の安全意識が足りない   47.5
国や電力会社の情報が信用できない      51.1
国や電力会社が原子力発電を推進しすぎた   21.3
自治体の連絡や防災体制が頼りない      7.3
その他                   0.9
分からない・無回答             1.6

問4 東日本大震災、福島原発事故以前、あなたの節電意識はどうでしたか。
常に心掛けていた       15.8
ある程度心掛けていた      44.9
あまり心掛けていなかった    30.5
全く心掛けていなかった     8.2
分からない・無回答       0.6

問5 東日本大震災、福島原発事故以降、あなたの節電意識はどうなりましたか。
大いに心掛けるようになった   40.0
ある程度心掛けるようになった  45.3
あまり変わらない        12.3
全く変わらない         1.8
分からない・無回答       0.6

問6 あなたはどのような節電をしていますか、またどのような対策をしようと考えていますか。いくつでもお答えください。
テレビやパソコンをつけっ放しにしない   70.8
不要な電灯を小まめに消す    87.4
冷房を控えめにする      59.5
冷蔵庫の開け閉めを少なくする  32.4
エアコンや冷蔵庫などを省エネ型家電にする  22.9
太陽光発電装置を使う      4.4
クールビズなど涼しい服装で過ごす  33.9
朝顔などの植物やすだれで日差しをさえぎり、暑さを和らげる  22。7
涼しい朝のうちに仕事をする   20.7
その他                1.3
分からない・無回答       0.9

問7 中部電力は政府の要請に応じて防潮堤などの安全対策が取られるまで浜岡原発を停止しました。あなたは運転中の原発をどうするべきだと思いますか。
浜岡原発同様、直ちに止めて対応する  38.4
運転を続け定期検査で対応する  53.6
その他                1.6
分からない・無回答       6.4

問8 日本には福島第一原発を含め54基の原発が存在し、2009年には29%の電力を発電しました。政府はこれまで、30年までに14基の原発を新増設する方針でした。あなたは今後どうするべきだと思いますか。
方針通り新設、増設を進める     6.3
新設、増設する数を14基より減らす  21.7
新設、増設はしない         67.2
その他               1.0
分からない・無回答       3.8

問9 あなたは定期検査中のものを含め既設の原発をどうするべきだと思いますか。
直ちに全て廃炉にする      9.4
定期検査に入ったものから廃炉にする  18.7
電力需給に応じて廃炉を進める  53.7
現状を維持する         14.1
その他             0.5
分からない・無回答       3.6

問10 あなたは今後、原発の運転で政府や自治体、電力会社にどんなことを求めますか。2つまでお答えください。
国や電力会社が原発の安全性や稼働理由について十分、説明する  30.8
国や電力会社が原発について監視体制や規制を強化する  38.0
国や電力会社が安全装置や防災設備を強化する  46.4
国や電力会社が福島原発事故などの事故原因について十分、情報公開する  37.5
国や自治体は原発事故発生時の放射件物質対策や避難計画など防災対策を住民に十分、知らせておく  33.6
その他               1.0
分からない・無回答       2.3

問11原発の発電が減った場合、あなたは電力不足に対して不安はありますか。
大いに不安がある       32.1
ある程度不安がある       50.5
あまり不安はない        14.4
全く不安はない         2.1
分からない・無回答       0.9

問12 原発の発電が減った場合、電力供給が減る可能性があります。その場合、現在の暮らし、ライフスタイルに比べ不便になることが考えられます。あなたは現在に比べ不便になることを受け入れられますか。
受け入れられる         80.4
受け入れられない       17.7
分からない・無回答       1.9

問13 09年の日本の電力は原子力と天然ガスが各29%、石炭が25%、水力が8%、石油が7%、再生可能エネルギー(太陽光、太陽熱、風力、地熱、バイオマス)は1%でした。あなたは今後どのエネルギー源に力を入れていくべきだと思いますか。2つまでお答えください。
原子力            7.2
天然ガス           31.4
石炭             3.9
水力             45.1
石油             3.9
再生可能エネルギー(太陽光、太陽熱、風力、地熱、バイオマス)    83.6
その他            0.8
分からない・無回答      1.9

問14 政府は福島原発事故の賠償で新機構をつくり交付国債を割り当てる支援策を決めました。あなたは、さらに政府が税金を投入して賠償責任を負うべきだと思いますか。
政府は賠償の責任を負うべきだ  81.8
政府は賠償の責任を負わなくてよい  12.8
分からない・無回答       5.4

問15福島原発事故を受けて稼働していない原発が増えています。そのため、当面は火力発電の割合が高まり燃料のコストがかさむことから、全国で電気料金が値上がりする可能性があります。あなたは電気料金値上げについてどう思いますか。
受け入れられる        64.0
受け入れられない       33.7
分からない・無回答       2.3

(注)複数回答では、比率の合計は100%を超える

▽調査の方法=層化2段無作為抽出法により、1億人余の有権者の縮図となるように全国250地点から20歳以上の男女3000人を調査対象者に選び、11、12の両日、調査員がそれぞれ直接面接して答えてもらった。転居、旅行などで会えなかった人を除き1853人から回答を得た。回収率は61.8%で、回答者の内訳は男性48.9%、女性51.1%。東日本大震災の被災地のうち、4県について被害の大きかった一部地域を調査対象から除いた。

  1. この数字は、あくまで福島原発事故が起こったあとで、事故以前を回想して「不安を感じていた」と答えた人の割合。 []

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