歴史教科書 採択は「首長の意向次第」でよいのか!

ここのブログでもコメントしなきゃと思っていたら、今朝の「東京新聞」に書かれてしまいました。

教科書採択の度に大問題になる、「つくる会」系教科書の採択。今年は、横浜市全域で採択されたが、これは前回、横浜8区では採択されたものの全市では採択できなかったので、今回から全市を1つの採択区にしてしまったから。

この問題の本質を一番よく表わしているのは、杉並区。同区では、山田宏氏の区長時代には「つくる会」系教科書を採択したが、山田氏が昨年参院選に転出して、区長が交代すると、今年は一転して不採択。前回、「つくる会」系教科書に賛成した委員も、今回は別の教科書に賛成したのだから、いったいどこを向いて教科書採択をやっていたか明らかだろう。

教育委員会というのは、市長および市行政当局からは独立した組織のはずなのだが、首長の意向によって教科書採択が左右されるというのは、まったくもって由々しき事態。

中学歴史教科書採択 首長の意向次第? 問われる教委

[東京新聞 2011年8月22日朝刊]

 横浜市教育委員会は2012年度から市立中学で使用する歴史と公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を採択した。「戦争を美化している」などの批判から、現場教員らによる評価は決して高くはなかったものの、教育委員の多数決で決まった。政治的中立を求められる教育委員会。教科書採択では首長の影響力が見え隠れする。(横浜支局・荒井六貴、社会部・鈴木学)

横浜市 前市長派 評価の低い育鵬社版/杉並区 区長交代 つくる会系から変更
*多数決で翻る

 四日の横浜市教委では、候補となった7社の歴史教科書に対し、現場教員らからなる調査員が実施した評価結果が示された。
 評価ポイントは「学ぶ意欲を培い、人生を切りひらく態度を養う」「知識を身に付け、豊かな情操と道徳心を培う」など16項目。調査員が項目ごとに判定した結果、最多の12項目で「適切」とされたのは東京書籍版だった。「適切」が8項目の育鵬社版は5番目にとどまった。
 しかし、採択の権限を持つ教育委員6人のうち4人が育鵬社版を推し、多数決で決定した。推薦した国士舘大学客員教授の小浜逸郎委員は「教育基本法で伝統と文化の尊重が挙げられている。それを教科書で生かしているかを、選定する基準にした」と説明。元同市総務局長の今田忠彦委員長も「日本の歴史には、すばらしい部分があり、歴史を学ぶ意欲をかき立てる教科書がいい」と話した。

*政治的中立は

 公民の教科書も7社のうち、12番目の評価だった育鵬社版が採択された。現場からの評価が高いとはいえない育鵬社版が採択されたことに、教育委員の姿勢や判断を疑問視する声が上がっている。
 横浜市教委6人のうち、育鵬社版を推した今田氏ら4人は、いずれも中田宏前市長の在任中の02〜09年に任命された。09年には市内の8区で「つくる会」系の歴史教科書が採択された。
 「子どもと教科書全国ネット21」の俵義文事務局長は「中田前市長が『つくる会』系を支持する委員を増やし過半数にしたからだ。教育委員会が政治的に中立でないことを強く感じる」と指摘する。
 一方、「つくる会」系歴史教科書が使われている東京都杉並区では、区教委が12年度からは帝国書院版の使用を決めた。「つくる会」と似通った見解を主張していた山田宏前区長は昨年、参院選に立候補するため区長を辞職。田中良・現区長が任命した3人の教育委員が帝国書院版を推し、採択された。
 3人のうち、再任された井出隆安教育長は前回支持した「っくる会」系教科書から、今回は帝国書院版を推した。同区のある幹部は「前区長の任期中はごたごたを避けたいと考えて『つくる会』の教科書を支持したのではないか」と推測する。

*首長が任命

 教育委員会は首長から独立した機関で、法律で政治的中立性の確保が求められている。1956年まで公選制だった委員は、政治的な影響にさらされてきたため、首長による任命制(任期4年)に変わった。首長が一気に委員を交代させないよう、それぞれの任命時期もずらされている。
 しかし、横浜市や杉並区の教科書採択をみると、任命した市長や区長の意向を教育委員がくみ取っているかのようだ。
 教育委員会制度に詳しい小川正人東大名誉教授は「首長が2期ぐらいになると、首長の意向を排除するのは難しい。ただ(戦前のように)政治と教育が一緒になるのは怖いことだ」と指摘。「教科書採択の趣旨からすれば、多数決を避け、地域の各層の意見を聞き、一致点を探る努力が必要」と提言する。

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