ユーロ圏の将来はどうなるか?

ギリシャ危機に始まったユーロ圏の金融不安は、イタリア、スペインにとどまらずフランスにまで広がりそうな状況。

そんななかで、こんな論評も流れている。政治家たちはギリシャのユーロ圏離脱はありえないというし、実際、ギリシャがユーロ離脱を余儀なくされたとすれば、次から次へと「弱い国」が狙い撃ちされるのは必至。したがって、政治的には「ありえない」のだが、はたしてそれですむかどうか。

焦点:「秩序ある再編」探るユーロ首脳、ギリシャ離脱賛成も | Reuters

焦点:「秩序ある再編」探るユーロ首脳、ギリシャ離脱賛成も

[ロイター 2011年 11月 17日 15:35 JST]

 [ロンドン 16日 ロイター] ギリシャに端を発した欧州債務危機。発生から1年以上が経過したが、危機は収束に向かうどころか深刻さを増している。ユーロ圏はどうなるのか、という不安が強まる中、ユーロ圏をどうするか、という議論も出始めた。
 きれいに形を整えたオムレツを崩す──ユーロ圏の再構築は、それに近い。秩序立った再編、とみなされるためにはどうするか。実際に踏み切る場合、ユーロ圏の首脳、さらに世界の金融政策担当者に突き付けられる課題はそれだ。現在出ているのは、ギリシャを離脱させる、または、中核的なグループと緩い連合の二層構造にする案だ。
 これまで、ユーロ圏の分裂は、ユーロ圏諸国と世界の金融システムに与える打撃が余りにも甚大だという理由で、絶対起こらないものとみなされてきた。しかし今や、ユーロ圏の崩壊、あるいは少なくとも再編は、欧州統一通貨構想に最初から反対だった人々だけのテーマでなくなっている。
 ユーロ圏のあるべき姿論の中心にあるのは、ギリシャをユーロ圏から外すことだ。欧州連合(EU)の首脳は口々にギリシャ離脱はないと主張しているが、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長は、ギリシャはどんなに努力してもユーロ圏にとどまることはできないと述べ、事実上ギリシャの離脱に賛成を唱えている。
 そうした中でフランスのサルコジ大統領が打ち出したのが、一部の導入国で統合を加速、深化させ、その周りを緩い連合で固めるという構想だ。
 サルコジ大統領の案は、EU全加盟国は等しく統合されるべきというのが公式方針から逸脱したようにみえる。そういう意図はないかもしれないが、サルコジ案はユーロ圏で比較的経済状況の良い北部とぜい弱な南部という切り分けを、よりはっきりさせようとしている。
 ユーロ圏再編で問題なのは、どのような形であれ、世間の信頼が失墜し、投資家が引き揚げ金融機関が打撃が受けるという、2008年のリーマン危機と同等ないしそれ以上の影響は免れないとみられていること。言ってみれば、もし手元のユーロが新ドラクマに切り替わると知ったらどうするか、ということだ。
 Cass Business Schoolのアンドリュー・クレア教授は「平和的解決策があるとは思わない」と述べ「真の問題は、銀行取り付け騒ぎが起こる可能性」と指摘した。
 欧州の銀行が保有するイタリア・ギリシャ関連債権を踏まえると、ユーロ圏規模の金融システムへの信頼失墜は容易に起こり得る。銀行取り付け騒ぎは、問題国だけの話ではないだろう。

<運命共同体>

 根本的な問題は、ユーロ圏の存続が危うくなった場合や離脱国が出てきた場合を想定した対策が考えられてこなかったことだ。
 ユーロ発足準備に関わったあるEU当局者は「それを考えることがタブーだった。通貨連合は永遠というのが大前提だった」と語る。
 ドイツはユーロ圏を「運命共同体」と呼ぶ。ユーロ圏を絶対視する路線はほとんどブレることなく現在に至っている。
 欧州中央銀行(ECB)は2009年に導入国が離脱する場合の法的影響に関する報告書をとりまとめたが、具体的な提言は盛り込まれていない。
 多くのエコノミストや投資家が、ユーロ圏の危機がギリシャの離脱だけで済まずユーロ崩壊につながることをテールリスク、起こる可能性はあるがコンセンサスのシナリオには含まれていないリスク、としているのは、こうした状況も理由の一つになっている。
 それでも、欧州の首脳がユーロ圏のあるべき姿という問題に真剣に取り組めば、従来的な反対を押しのけてユーロ防衛に必要な措置を講じると予想されている。
 UBSは、ユーロ再編にあたってECBが債務問題への取り組みでフリーハンドを得ると予想する。シニア経済アドバイザーのジョージ・マグナス氏は15日「最も可能性の高い変更はECB。われわれは、ドイツが最終的にECBにマネーサプライやバランスシートをさらに拡大する権限を持たせることを認めると考える。容認できるユーロ圏のインフレ率の引き上げも可能になると予想する」と述べた。

<打撃を最小限に>

 ユーロ圏崩壊となれば、金融システムの大混乱は免れないが、影響を多少和らげる策はあるようだ。
 独プライベートバンク、ベレンベルクのチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「打撃を最小限にすることは可能だが、気付かれないよう迅速に行う必要がある」と言う。
 同氏によると、ギリシャがユーロ圏を離脱することになった場合、資本規制が必要になるが、預金者の混乱を招かないように実施しなければならない。また、市場に無用な憶測をもたせないようする必要がある。
 「極めて迅速に、しかもこのようなことが繰り返されることは絶対ないと思われるような形で行う必要がある」という。万一事前に情報が漏れれば、その影響は計り知れない。
 「問題は市場がギリシャで終わりと考えるかどうか」と言うシュミーディング氏。迅速な対応で混乱を最小限に抑えることは可能とみる。それでも「それはとりたくないリスク」と語った。(Jeremy Gaunt記者;翻訳 武藤邦子;編集 田中志保)

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GAKU

年齢:50代 性別:男 都道府県:東京都(元関西人) 趣味:映画、クラシック音楽、あとはひたすら読書

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