デフレ解消に役立つ策はあるのか?

Twitterではすでに呟いたのですが、やっぱり140字ではいかんともしがたいので、ブログに投稿し直します。

本日の日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査本部長の五十嵐敬喜氏が「デフレ解消に役立つ策は」と題して書かれている。

「デフレの主因は需要不足だ」として、貨幣供給量を増やすことでデフレ脱却をはかろうという日銀の手法を「デフレ解消に役立たない」と断言されたのは、実にごもっとも。しかし、ではどうやって需要を喚起するのか?

氏の答えは、結局、「国内で潜在需要が見込まれる分野に、お金を『借りて』でも積極的に投資すること」というものでしかない。デフレで、国民消費が縮小しているときに、あえてカネを「借りて」新規投資する企業がどれだけあるだろうか。

氏も指摘されるとおり、企業部門は大幅なカネ余り状態。そして、政府部門は、財政「健全化」が求められ、新たに「借りて」需要を増やす余裕はない。このままでは、需要不足解消のメドはなく、デフレ脱却もおぼつかない。もはや」、企業部門の黒字を家計部門に回すことなしには、デフレ脱却も日本経済の回復もできないことは明らかだろう。

【十字路】デフレ解消に役立つ策は

[日本経済新聞 2012/02/14夕刊]

 通常、モノの供給量が増えると価値(価格)は下がる。お金も供給量を増やせば価値が下がるから、逆に物価は上がるはず。この発想から、日銀が輪転機を回してお札を大量に増刷しさえすれば、デフレから容易に脱却できるはずだという主張がある。信じてよいのか。
 クレジットカード、デビットカード、プリペイドカードなどをすべて廃止し、ATMもなくしてしまったらどうなるか。誰もが従来以上に現金を持ち歩くようになり、日銀券の流通量は急増するに違いない。しかし、デフレ解消に役立たないのも自明だろう。
 デフレの主因は需要不足だ。需要(支出)を増やしデフレを緩和させるには、日銀券ではなく預金を増やさねばならない。一万円札1枚の製造コストは16円程度とされる。お札をいくら刷っても預金は増加しない。何らかの方法で預金を増やすことが大事なのであり、日銀券は預金が現金で引き出された時に結果的に増えるにすぎない。
 預金は銀行部門の負債だから、預金を増やすためには銀行の資産を増やす必要がある。これを銀行の信用創造と呼ぶが、その原動力は「借りる」という行為だ。人は使う必要があるから利息を払ってでも、借金する。借りたお金は必ず使われる。これが需要を増やし、デフレを緩和させる。
 借りる行為は銀行を経由しなくても、例えば社債を発行することでも達せられる。この場合、使わない人の預金が使う人(借り手)の預金に振り替わることになる。預金総額は変わらないが、需要の増加に寄与する点では、信用創造と同じ効果がある。
 借りる主体であるべき企業部門で、むしろ資金は余っている。企業に今、求められるのは、国内で潜在需要が見込まれる分野に、お金を「借りて」でも積極的に投資することだ。輪転機は打ち出の小づちではない。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査本部長 五十嵐 敬喜)

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