『資本論』に書かれた「社会的排除」

資本論を読んでいると、マルクスの言っていることが、本当にいままさに目の前で起こっていることをずばり指摘しているように思えるところにたくさん出くわす。ここでいいたいのは、マルクスの理論の現代性ということではない。

マルクスは、『資本論』のなかで、資本主義のもとで労働者の失業や貧困、生活苦などの問題をできる限り詳しく、また全面的に描き出そうとしているのだが、そうした叙述のなかに、最近新しい問題として取り上げられているようなさまざまな問題が、実に的確に取り上げられていることだ。

たとえば、「社会的排除」の問題。失業者やホームレスが社会から締め出されていく問題だが、第13章「機械と大工業」では、綿花飢饉で苦しめられる綿業労働者の様子が詳しく書かれているなかで、次のような、『工場監督官報告書』からの引用がある。

「綿花飢饉のために職を失った不幸な女性たちは、社会ののけ者となり、そのままの状態に置かれる。……若い売春婦の人数は、この25年間のなかでもっとも増えている」(新日本出版社『資本論』上製版、Ib、788ページ。ヴェルケ版482ページ。一部改訳)

この「社会ののけ者」というのは、ドイツ語では Auswürflinge der Gesellschaft、英語では outcasts of society。outcast とは「追放者」とか「のけ者」という意味だし、ドイツ語の Auswürfling は辞書を引くと「火山放出物」とあるが、語源的には auswerfen(吐き出す、投げ出す)された人という意味。文字どおり、社会から排除された人たちを指している。

労働者の失業・貧困の問題とかかわって、マルクスが「社会的排除」という問題にしっかり注目して、膨大な『工場監督官報告書』から資料を取り上げていることに、あらためて驚く。

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