ビックカメラが「残業代不払い」の疑いで東京労働局の捜査受ける

ビックカメラが、時間外賃金不払い(いわゆる「サービス残業」)を行なっていた疑いで、東京労働局の捜査を受けました。

容疑の対象は、池袋店のフロア責任者1人だけのようですが、「1人だけ」のはずはないので、徹底した査を望みたいと思います。また、フロア責任者というと、普通は“売り上げノルマを達成するためには何でもやるのが当然”と思われがちですが、そうやって「サービス残業」させるのは違法だということが、あらためて明確にされたというのも重要な点でしょう。

ビックカメラにサービス残業の疑い・東京労働局捜索(NIKKEI NET)

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野村証券男女差別人事訴訟、高裁で和解

野村証券の女性社員が、コース別人事制度で賃金・昇格差別を受けたと野村証券を訴えた訴訟で、東京高裁において原告側全面勝利の和解が成立しました。

この裁判は、男性は「総合職」、女性は「一般職」とする男女別のコース別人事で、たとえば高卒男性は勤続13年で課長代理に昇進するのに対し女性は平社員のまま、年収でも300?400万円の格差がつくという差別待遇の是正を求めて、1993年に提訴されたものです。
和解では、一審では認められなかった在職中の原告全員の課長代理への昇格、原告全員への一括和解金の支払いなどが認められました。なお、男女コース別人事には、すでに一審の段階で、男女雇用機会均等法違反だという判断が下されています。

原告のみなさん、おめでとうございました。ヽ(^^@)/

女性3人を総合職に 野村証券男女別人事訴訟で和解(朝日新聞)
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日商が不払い残業で労基署立ち入り

財界3団体の1つ、日本商工会議所(日商)が、労働基準監督署の立ち入り検査を受け、職員約70人に対し不払い残業代約1000万円を支払いました。

財界の中心団体の1つでありながら、法律を守っていなかったということは責任重大。日本企業が、いかに労働基準法を守る気がないかを象徴する事件といえます。

日商で不払い残業1千万円 1?7月で職員約70人分(共同通信)

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月100時間超残業者に対し医師面接を義務づけ

「過労死自殺」の防止のため、厚労省は、月100時間を超える長時間残業をやっている労働者に医師による心身チェックを企業側に義務づける方針を決めたそうです。これは、「過労死自殺」した人の半数が月100時間以上の残業をしていたという厚労省の調査を踏まえたもの。

※月100時間超の残業というと、1日平均4時間ぐらい。つまり8時間勤務+4時間残業=12時間労働という計算になります。他方で、労調協の調査では、30代の男性サラリーマンの勤務時間は平均で11時間16分になります。平均で11時間超ということは、かなりの労働者が月100時間超の超過勤務をしている(実際に残業時間としてつけているかどうかは別にして)ということを意味します。これを実際にどう規制していくかは、日本社会の在り方の根底に関わる喫緊の重要課題だと思います。

こうしたチェックによって「鬱」が発見され、適切な対応がなされればそれにこしたことはありません。しかし問題は、月100時間超などという残業が放置されていることです。チェックするなら、そこのところをチェックし、企業に直ちに改善させるようにすべきでしょう。それを放置したままでは、ノルマに追われた労働者の方が医師に対して「大丈夫です」と答えざるをえない立場に追いこまれるだけ。結局、「医療チェックしていたが、そのときは本人も“大丈夫だ”と言っていた」などというこになって、企業側の責任を軽くすることになりかねません。まず残業時間の上限を法律で決め、「裁量労働制」など長時間残業を野放しにしかねないやり方をきちんと規制すること、そして労基署がもっと日常的に残業時間管理をチェックする体制をつくり、企業側への指導権限を持たせるようにすべきです。

医師の面接義務付けへ 過労死、自殺対策で法改正(共同通信)

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給与は減り残業は増える…

厚生労働省の毎勤統計によれば、今年6月の現金給与総額前年同月比2.4%減。所定内給与が0.5%減の一方で、所定外給与(要するに休日出勤・残業代)は4.8%増。現金給与全体のマイナスに貢献したのは、「特別に支払われた給与」(つまりボーナスなど)の5.6%減でした。

また、労働時間は、総実労働時間で0.2%増、とくに所定外労働時間が4.1%増と24カ月連続増加となっています。雇用では、一般労働者(正規雇用)が1.2%減に対し、パートタイム労働者は6.4%増となっています。

要するに、正規雇用が減りパートが増え、給与水準は低下し、残業が増えているということ。一方では失業者やリストラ首切りがあり、他方では残業時間が増える…。実に不合理です。

毎月勤労統計調査―2004年6月分結果確報(厚生労働省)

非正社員が35%に

読売新聞が1面で報道していますが、厚生労働省の調査で、全国の事業所で、パートや派遣など「非正社員」の割合が労働者全体の35%を占めていることが明らかになりました。

「非正社員」の割合は、5年前の調査(1999年)から7.1ポイント増。企業側が「非正社員」を増やす理由の第1は「賃金の節約のため」。非正規雇用の増大が、労働者全体の賃金引き下げにつながっていることを証明するものとなっています。

厚生労働省「平成15年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」
非正社員が35%に、最大の雇用理由は「賃金節約」(読売新聞)

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派遣労働者の保険加入

派遣労働者を対象とする人材派遣健康保険組合の被保険者が20万人を突破しました。発足2年で加入者倍増ということですが、対象となる派遣労働者は常用換算で69万人もいて、まだ加入率は3割程度です。派遣会社によっては、保険料を節約するために、保険への加入を渋る企業もあり、派遣労働者の地位はまだまだ不安定です。

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労働基準法違反で873社の社名公表

「朝日」7/7夕刊は、「03年に全国47労働局が労働基準法違反などで837社の企業名を公表した」ことが朝日新聞社の独自の取材で明らかになったと報道しています。2002年は、すでに資料を破棄した静岡を除く46労働局の合計で721社だったそうです。

公表の理由は、全体の4割が賃金の不払い。資金繰りを優先して賃金の支払を遅らせるケースで、7ヵ月以上未払いの企業が53社。残業や休日出勤の割増賃金を支払わない「サービス残業」で企業名公表が16社。ほかに、「労災隠し」で121社など。

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重大労災が増加

東京新聞によれば、「重大労災」(一度に3人以上が死傷する事故)は2003年には249件で、前年比18件増。一般の労災の発生件数は減少傾向にあるが、重大労災は1985年を底に増加傾向にあり、タンク火災や爆発事故など70年代後半の水準に逆戻りしたという。

これを受けて、厚生労働省は、4日までに、「従来の直接的な事故原因の調査だけでなく、リストラや経費削減など事故の背景も調査する方針を決め、全国の労働局や労働基準監督署に指示した」。厚生労働省が調査を指示したのは、主として(1)人員の削減、(2)経費の削減、(3)設備の老朽化の3点。

 「厚労省の調査では、安全担当の部署の予算が足らないと感じている企業では、十分確保している企業に比べ、労災の発生率が2倍に上った」とも。(以上、「東京新聞」7/5付)

さらに、厚生労働省の資料によれば、「労災かくし」も増加しているらしい。検察庁への送検件数は、この10年間で増加。とくに2001年度は前年度より35件増加し、129件になるなど、急増している。(厚生労働省・第4回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料「労災報告の適正化に関する懇談会報告書」による)

【追記】
共同通信が4月28日に次のような記事を配信しています。

重大労災事故が249件 79年以降では最悪、厚労省

 労災事故で一度に3人以上が死傷する重大災害の発生件数が、2003年に249件と前年より18件増え、1979年以降では、最悪となったことが28日、厚生労働省の集計で分かった。
 製造業を中心に昨年、相次いで発生した工場施設の爆発や火災の多発が原因。厚労省は専門家検討会で今後の安全対策を議論し、労働安全衛生法の改正を具体化させる。
 厚労省によると、重大災害は78年に261件を記録し、翌79年は210件に急減。85年には141件と最低となり、その後は増減を繰り返しながら、増加傾向にあった。
 今回の調査で重大災害が最も多い業種は、建設業の88件で、次いで製造業の38件、陸上貨物運送の22件となっている。(共同通信)[4月28日19時27分更新]

若手労働者は疲れている…

朝日新聞が労働調査協議会の調査として報道したところによると、民間企業の若手男性社員の場合、仕事がある日の生活時間は、通勤1時間34分、勤務11時間16分、睡眠6時間37分だったそうです。女性の場合も、勤務時間は10時間3分といいます。民間大企業を中心とした34歳以下の労働組合員を対象にした調査で、この結果。1日の勤務時間が10?11時間! 文字どおり『資本論』的世界が、日本ではいまだに当たり前。「1日8時間」の労働基準法の規定はどこへいってしまったのでしょう?

労働調査協議会記者発表ニュース

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