原作を読んだ者としては、なんとも… う〜む

映画「テンペスト」

映画「テンペスト」、見て参りました。(今年7本目)

原作を読んだばかりの者としては、なんともコメントのしようがないような…。原作を知らずに見た人は、いったいどんなふうに思うでしょうか?

(以下、人によっては「がっかり」のネタバレあり)

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映画「扉をたたく人」

扉をたたく人

今月28日で閉館になる恵比寿ガーデンシネマで、これまでスクリーンにかけてきた作品をリバイバル上映していますが、先日、映画「扉をたたく人」を見てきました。2009年に公開されたときは、残念ながら見逃していたものです。

ストーリーなどは、こちらを↓。
映画『扉をたたく人』(原題:the Visitor)公式サイト

原題は The Visitor。ウォルターがNYの自宅に久しぶりに帰ったら、そこにやってきていたという意味でも、タレクたちはVisitorですが、海外からアメリカにやってきた Visitor でもあります。そして、その Visitor たちが、9・11後のアメリカ政府やアメリカ社会のあり方はそれで良いのかと問いかけ、扉を叩いている。そんな作品でした。(今年4本目)

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悪態三昧 映画「人生万歳!」

映画「人生万歳!」

仕事始めのあと、今月で閉館となる恵比寿ガーデンシネマで、映画「人生万歳!」を見てきました。(今年2本目)

チラシには、こんなふうにストーリーが紹介されています。

 かつてはノーベル賞候補になりながら、いまではすっかり落ちぶれてしまった物理学者ボリス。ある夜、アパートの前で、田舎町から出てきた若い娘、メロディに声をかけられる。寒さで凍える彼女を気の毒に思ったボリスは、数晩だけという約束で泊めてやることにする。ところが、世間知らずのメロディは、冴えない中年男のボリスと暮らすうちに、彼こそは“運命の相手”だとすっかり勘違いしてしまう。そのうえ、愛する娘の後を追って、メロディの両親が相次いで上京したことから、自体はますますややこしいことに…… 年齢も知能指数もかけ離れた2人の“あり得ない”恋愛の行方は、果たしていかに?!

これを読むと、両親がやってきて、年の離れた娘の結婚に反対してドタバタ騒ぎが起こるというふうに思うでしょう。しかし、実際のストーリーはだいぶ違っていました。(^^;)

ともかく、このボリスがすごいキャラです。

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で、家族の絆は回復されたのか? 映画「レイチェルの結婚」

レイチェルの結婚

昨日公開されたばかりの映画「レイチェルの結婚」を、渋谷・Bunkamuraル・シネマで見てきました。(今年3本目)

姉レイチェルの結婚式を前に、妹のキムが施設から帰ってきます。いちおう温かく迎えられるキムですが、ささいな行き違いや家族の態度、言葉に、キムは神経をピリピリさせます。そしてついに、結婚式前夜に姉と妹が大衝突…。

ということで、泣いてわめいて、家族がぶつかり合う映画です。(^^;)

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14歳の少女の目から描かれた‘あの時代’

リリィ、はちみつ色の秘密

本日は仕事帰りに、日比谷で映画「リリィ、はちみつ色の秘密」を見てきました。(今年2本目)

アメリカで公民権法が成立した1964年。法律はできたけれども、黒人差別はなくならない。そんな“時代”を、14歳の少女リリィの目から描いた作品です。

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ただただ圧倒されました… 「ブラッド・ダイアモンド」

映画「ブラッド・ダイアモンド」

シエラレオネというと、国民1人当たりのGNI(国民総所得)が年間220ドル、人口の50%以上が1日1ドル未満で生活する世界最貧国の1つ。1991年から約10年間にわたる激しい内戦がたたかわれ、多くの犠牲者とそれ以上にたくさんの難民を生み出しましたが、その紛争の原因となったのが、ダイアモンド。

そういう大雑把な知識はあったものの、実際に映画が始まると、エンタテイメントとして楽しむ余裕などまったくありませんでした。ダイアモンドの密輸にかかわるダニー・アーチャー(レオナルド・デカプリオ)と、反政府軍RUFに捕まって働かされていたダイアモンド発掘現場から逃げ出してきたソロモン・バーディー(ジャイモン・フンスー)とが、あっという間に市街戦に巻き込まれてゆくあたりから、ただただ圧倒されながら見ておりました。

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ニコール・キッドマン讃歌

ニコール・キッドマン(記憶の棘)

コンサートの帰り、日比谷のシャンテ・シネで、本日封切りの「記憶の棘」を見てきました(8本目)。実は、どんなストーリーなのか、どんなジャンルの作品なのか、まったく知らなかったのですが、ニコール・キッドマン主演だということで、ともかく映画館に直行。(^_^;)

愛する夫ショーンが心臓発作で突然死んでから10年。アナは、ようやく再婚を決めた。ところが、その彼女のところに10歳の少年が現われ、「僕はショーン、君の夫だ」と名のる…。

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中年独身男の悲哀…? 「ブロークン・フラワーズ」

「ブャ??クン・フラワーズ」チラシ

仕事も終わったので、今日から僕の連休。夕方から“映画でも…”と新宿まで出かけてみましたが、やっぱり連休中、新宿の街は人だかり。映画館は満席でした。(^_^;) (今年5本目)

コンピュータで一財産を築いた主人公ドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)は、一緒に暮らしていたシェリー(ジュリー・デルピー)にふられてしまう。そこに、ピンクの封筒に入った手紙が届く。手紙には「あなたには息子がいて、もうすぐ19歳になる」と書かれていた。俺に息子? 気乗りのしないドンは、隣家の友人ウィンストン(ジェフリー・ライト)に促されて、20年前に付き合っていた4人の女性を訪ねてまわる旅に出かける…。

というわけで、ドンの訪ねる元カノを演じるのが、シャロン・ストーン(ローラ役)、フランセス・コンロイ(ドーラ役)、ジェシカ・ラング(カルメン・マーコウ博士役)、ティルダ・スウィントン(ペニー役)という豪華な女優陣。といっても、シャロン・ストーンも、もはや「氷の微笑」のあの輝きはありませんけどね。(^_^;)

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見てきました!! 「風と共に去りぬ」

風と共に去りぬ

今年最初の映画は、あの名作「風と共に去りぬ」。銀座のルテアトル銀座で見てきました。本編だけで上映時間4時間、途中休憩をはさんで、午前11時から午後3時半まで。たっぷり堪能させていただきました。m(_’_)m

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アイデアは最高 「メリンダとメリンダ」

メリンダとメリンダ

少し前に、恵比寿ガーデンシネマで見てきた映画です。(今年16本目)

こっちのメリンダ(ラダ・ミッチェル)は、裕福な医者と結婚して子どもも2人いて、幸せだったはずなのに、カメラマンと浮気した挙げ句に捨てられ、自殺未遂をして精神病院に収容されていたというボロボロな状態。他方、もう一人のミランダ(やっぱりラダ・ミッチェル)も、裕福な医師と離婚したけれど、こっちはさっさと次の恋を探しに行くという感じで、どちらも友人宅のパーティーに突然転がり込み、ピアニストと出会うというところは同じ。それなのに、不幸なメリンダと幸福なメリンダでは、こんなに結末が違ってしまう…という作品です。しかも、それを一人の女優に二役で演じさせるというところも、映画の作り方として興味あります。

個人的な好みからいえば、不幸な方のメリンダのストーリーの方が見ていて面白いですね。ちょっと崩れた感じで、感情の起伏を押さえきれないあたりも危なっかしい。いわゆる破滅型なんでしょう。実際の恋人がこんなのだったら迷惑きわまりない話ですが、見てる分にはハラハラ、ドキドキ、飽きさせてくれません。

ただし、(このあと、ややネタばれ、興ざめ的コメントあり)

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映画「ザ・インタープリター」

ザ・インタープリター

ニコール・キッドマン主演の「ザ・インタープリター」をようやく見てきました。公開前から新聞の映画評は酷評さくさくで、しかも公開直後にみてきた職場の先輩が「結末がイマイチ…」などとネタばれ的なことを言っちゃったもんだから、見る気をそがれて、とうとう今日になってしまいました。(^^;) ということで、今年見た14本目の映画。

国連の通訳を務めるシルヴィア(ニコール・キッドマン)は、偶然、アフリカのマトボ共和国大統領の暗殺計画が話し合われているのを聞いてしまう。通報を受け、シークレットサービスの捜査官ケラー(ショーン・ペン)が事件の調査を始める。ケラーは、彼女に疑いをもつが、ある夜、彼女のアパートの外階段に不審者が現われ、シルヴィアの本格的警護が始まる。しかし、ある朝、シルヴィアは不審な行動をとる…。

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映画は最高! でも2度と見たくない…

SAW

今年4本目の映画。今日で公開終了ということで、ちょいと残業して、仕事帰りに吉祥寺バウスシアターのレイトショーで、「ソウ(SAW)」を見てきました。

目を覚ましたら、そこは、すっかり荒れ果てた、どこかの地下のバスルーム(?)らしいところ。部屋の真ん中に血まみれの死体が横たわり、それをはさんで対角線にアダムと医者のゴードンが足を鎖でつながれて閉じこめられている。

いったいなぜ? 誰が? 何のために?

犯人がゴードンに宛てたメッセージは、“家族は預かった、助けたければ6時までにアダムを殺せ”と要求。やがてゴードンは、数カ月前に自分が容疑者にされた連続猟奇殺人事件を思い出す。“ジグソウ”と呼ばれる犯人を、タップ刑事は相棒のシン刑事とともに、追いかけていた…。

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モンスター

モンスター

今日は、渋谷で「モンスター」を見てきました。シャーリーズ・セロンがアカデミー賞最優秀主演女優賞をもらった映画。実在の女性死刑囚アイリーン・ウォーノスの物語です。

舞台は80年代のフロリダ。13歳から娼婦として暮らしてきたアイリーンは、偶然、ゼルビーと出会う。ゼルビーは、父親から同性愛の治療を命じられて、フロリダへやってきていた。意気投合した2人は、一緒に暮らすことを決意。アイリーンは、そのための資金を手に入れようと男を誘ったが、その男は娼婦に暴力をふるうことで興奮する野郎だった…。やむを得ずアイリーンは男を殺し、金とクルマを奪ったが…。

シャーリーズ・セロンは、この映画のために13キロ体重を増やしたそうです。そのうえ、目元にたるみ、シミやそばかすだらけのメイキャップで、まったくブロンド美人の面影はありません。他方で、アイリーンが“愛”したゼルビーを、童顔(その実、もう24歳なんですが…)な、だけど“脱ぐと私すごいんです”のクリスティーナ・リッチが演じています。しかし、このゼルビーがなかなかのくせ者です。(以下、ネタばれの可能性あり)

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ツイステッド

ツイステッド

先週公開の「ツイステッド」を見てきました。カリフォルニアを舞台にした警察もののサイコ・ミステリー?です。

警官ジェシカ(アシュレイ・シャド)は念願かなって殺人課に配属されるが、そのとたんに、連続殺人事件が発生。被害者はいずれもジェシカが関係をもった男たち。しかも、泥酔していたのか、ジェシカには犯行時の記憶がない…。一方、ジェシカの周辺には、ストーカーらしき影も…。はたしては犯人は…?

twistedというのは、「ねじられた、より合わされた」という意味とともに、「(真実が)ねじ曲げられた、歪曲された」とか、「(心が)ねじ曲がった、ゆがんだ」という意味を持っています(小学館『プログレッシブ英和中辞典 第3版』など参照)。そのタイトルどおり、お話はかなり絡み合っています。ストーリーがすすむにつれて、ジェシカ本人も、自分には密かに“暴力”への志向(嗜好?)があるのではないかと思えてくる…。なかなか、凝ったつくりになっています。

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16歳の合衆国

16歳の合衆国チケット

昨日は引越作業が完了したので、夕方から映画を見に行ってきました。「16歳の合衆国」(原題は“The United State of LELAND”)という映画です。予告編で「なぜ、僕は恋人の弟を殺したのか?」というふうに紹介されているので、どういう事件が起こったかは最初から明らかになっているので、テーマは「なぜ、彼は恋人の弟を殺したか」ということになる訳です。

しかし、主人公リーランド・P・フィッツジェラルド役のライアン・ゴズリングが16歳に見えない。1980年生まれというから、まあそれも仕方ないかも知れないけれど、そもそもそこからなんかチグハグ。

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モナリザ・スマイル

モナリザ・スマイル

ジュリア・ロバーツ主演の映画、ということで見てきました。

舞台は1950年代のニューイングランドの名門女子大。そこに美術史の新任スタッフとして、キャサリン(ジュリア・ロバーツ)が赴任してくる。しかし、伝統を重んじ、何よりも結婚して家庭を守ることこそ女性の最高の幸せだとする保守的な校風に、キャサリンは強い反発を覚える。現代アート専攻のキャサリンに対し、大学側は「絵の具を塗りたくっただけのもの」と言うほど。それでも、「まず絵を感じること」というキャサリンの授業は、少しずつ生徒たちにも受け入れられていく。そんななかで、生徒の一人がイェール大学の法学部にすすみたいが、結婚するので諦めると知って、キャサリンはこっそりイェール大学の願書を取り寄せる。しかし、それがやがてキャサリンに対する“事件”となっていく…。

いまの日本では、もはや考えられないような状況ですが、ダンナは外で仕事して、奥さんが家庭にいて子どもがいて、家には洗濯機や冷蔵庫があって…という“家庭像”は、昔見たアメリカン・ホームドラマのパターンでした。そんな“幸せな結婚生活”イデオロギーと果敢に戦うジュリア・ロバーツですが、結末は、「あそこまでやっておきながら、それはないんじゃない?」という感じです。でも、まあ世の中そんな簡単じゃないし、まさか50年代にキャサリンのような「自立した女性」が受け入れられるなんていうことは、やっぱりありえないことだということなんでしょう(映画では、マッカーシズム真っ最中だった時代背景もちらりと登場します)。

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カーサ・エスペランサ

カーサ・エスペランサ

子どもがほしいアメリカ人女性と、理由があって子どもを育てられない女性――。アメリカ人女性に養子斡旋をする南米の孤児院が舞台です。子どもがほしいとやってきた7人のアメリカ人女性は、養子が認められるためにいろいろな条件があるらしく、なかなか手続きがすすまない。もし子どもができたら…とお互いに夢を語りながら、実際には離婚寸前だったり、お金がなくなりそうでその心配で頭がいっぱいだったり…。女性たちの複雑な心境が描写されます。他方、そういう女性たちを“お得意”にする弁護士と、ぐるになって滞在を長引かせてできるだけカネを使わせようとするホテル経営者。そんな人々が暮らす街には、ストリートチルドレンとなった孤児たちがあふれている。

と、「赤ちゃんたちの家」というにはほど遠いシリアスな現実を見せてくれますが、監督は決して、養子をほしがるアメリカ人や子どもを養子に出す母親を非難するわけでなく、貧困故に捨てられ、ストリートチルドレンにならざるを得ない「南」の厳しい現実も浮かび上がらせながら、子どもを養子に出さざるをえない母親の方が不幸なのか、それとも子どもができないというだけで苦しむアメリカ人の方が不幸なのかと問いかけてきます。

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