経済財政諮問会議「民間議員」言いたい放題

25日、首相の諮問機関である経済財政諮問会議の会議が開かれ、「民間議員」の提出した資料にもとづき議論。

「全額税方式なら消費税は6%引き上げが必要」だという議論については、前にも触れましたが、昨日の会議では、それだけでなく、現在でも65歳にまで引き上げられた支給開始年齢をさらに引き上げるべきだと主張したそうな。その一方で、法人税は30%に引き下げるなど企業減税を要求。ほんとに言いたい放題です。

北海道新聞が社説で、「将来の消費税率は20%を超えることになる。あぜんとしてしまう数字だ」「消費税増税へと世論を誘導しようとしていると疑われても仕方ない」「税率の引き上げが財界人や学者などでつくる民間議員から出てくるのもおかしい」と批判しているのが注目されます。

経済財政諮問会議、年金制度改革「全額税」なら消費税6%↑(FujiSankei Business i.)
支給開始65歳から引き上げ 諮問会議が年金改革案(中国新聞)
社説:年金の財源 これも消費税増税とは(北海道新聞)

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どっちに転んでも消費税増税ってか?!

経済財政諮問会議の民間議員が、基礎年金の財源を「全額税方式」とした場合に消費税を約7%引き上げなければならないとの試算を同諮問会議に提出するつもりらしい。

狙いの1つが、民主党の掲げる「全額税方式」にたいする攻撃にあることは明らかだろうが、もう1つ見逃せないのは、それとの対比で、「国庫負担2分の1化」はわずか1%でできるとして、消費税増税に世論を誘導しようという企みがあること。むしろ、派手な民主党攻撃は表向きのことで、ホンネは消費税増税への世論づくりにあると見るべきだろう。

それにしても、経済財政諮問会議の民間議員というのは、ホントろくなことをしませんなぁ?

消費税7%分が必要 基礎年金全額税方式で試算 諮問会議に提示へ(東京新聞)

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増税攻勢始まる

内閣府が、2011年にプライマリー・バランスの黒字化を達成するためには、最大6.6兆円の増税が必要との試算を発表。社会保障給付を維持した場合には、2025年には最大31兆円の増税が必要とも試算しています。

現在の大企業・大資産家へのやり過ぎ減税をそのまんまにして、つじつまを合わせようとすれば、結局最後は「消費税で…」ということになるのは明らか。税金の使い方はもちろん、税金の集め方も変えないとダメですよ。

最大6.6兆円の増税必要 社会保障維持なら31兆円も(中日新聞)

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経済財政審・民間議員が提言を提出

6日ひらかれた経済財政審議会に、民間議員が提言を提出。

「改革を決して停滞させることなく、政府や社会保障のあり方、地域経済の再建について、成果が出るように一段の取組みを続けるべきである」として、「改革の続行・進化」を要求しています。

平成19年会議結果 第19回会議 配布資料:内閣府 経済財政諮問会議

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参院選、有権者は何を選択したか(2)

「東京新聞」7月30日付夕刊での鎌田慧氏のコメント。自民党の敗因は「年金問題」ではなく、庶民の生活などには無関心な安倍首相が裸の王様になってしまったからだと指摘。同時に、民主党にたいする投票のなかには、民主党が主張するような集団的自衛権の行使や改憲にたいする批判票もあるのだぞと釘を刺されています。

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経済財政諮問会議、民間議員が個人住民税の引き上げ要求

民間議員というけれど、日本経団連の御手洗会長が含まれています。要するに、財界・大企業として、個人住民税(均等割)を引き上げて、その分、法人税やら法人住民税などは引き下げてくれということです。

「個人住民税引き上げを」と民間議員=地方消費税拡充では対立?諮問会議(時事通信)

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労働生産性をめぐる2つの記事

たまたまでしょうが、今日の新聞に、日本の労働生産性をめぐる2つの、対照的な記事が出ていました。

1つは、「日経新聞」の「労働生産性、米の7割」という記事。内閣府の分析で、2005年時点の日本の労働生産性がアメリカの7割(71%)しかなく、主要国で最低水準になっていることが明らかになった、とくに、卸・小売業、運輸などサービス分野で低迷が目立つ、としています。

もう1つは、「欧州統合 岐路に」と題した「朝日新聞」の記事。こちらは、直接、日本の労働生産性を問題にしたものではありませんが、「生産性の伸びと賃金上昇の関係を示す『単位労働費用』」の変化で、2000年を100とした場合に、2006年にドイツ90.5、フランス94.9と低下していて、「生産性の向上に賃金が追いついていない」のが問題だという記事です。

で、そこに出ているグラフを見ると、アメリカが96ぐらいと、ほとんど下がっていないのにたいし、日本は82ぐらいまで低下しています。つまり、賃金あたりでみた生産性でいうと、アメリカはほとんど伸びていないのにたいし、日本は大きく伸びている、ということです。

はたして、日本の労働生産性は伸びているのか、伸びていないのか? どちらも典拠はOECDの統計なのですが、どうしてこんなことになるのか、どなたか詳しい方、解説をお願いします。m(_’_)m

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経済財政諮問会議、「労働市場改革」にむけて「行動指針」策定へ

政府の経済財政諮問会議で、同会議労働市場改革専門調査会の八代会長が第1次報告「『働き方を変える、日本を変える』―《ワークライフバランス憲章》の策定―」を報告。「働き方を変える行動指針」の策定を目指すことで合意したようです。

↓第1次報告はこちら(PDF)。
「働き方を変える、日本を変える」―《ワークライフバランス憲章》の策定―

当日の議論については、こちらを参照。→平成19年会議結果 第7回会議 会議レポート:内閣府 経済財政諮問会議

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経済財政諮問会議「新中期方針」を閣議決定

古いニュースですみません。1月25日に、経済財政諮問会議の答申「日本経済の進路と戦略?新たな『創造と成長』への道筋?」が、「新中期方針」として閣議決定されていました。

日本経済の進路と戦略?新たな「創造と成長」への道筋?(経済財政諮問会議)

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『週刊エコノミスト』1/30号が「労働ビッグバン」特集

『週刊エコノミスト』1月30日号(毎日新聞社)

毎日新聞社の『週刊エコノミスト』1月30日号(現在発売中)が「本当の労働ビッグバン」と題して、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」を含む「労働ビッグバン」の特集を組んでいます。こんどの通常国会への「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」法案の提出見送りとなった段階で、さらに問題を深める格好の素材になっていると思います。

たとえば政策研究大学大学院の濱口桂一郎教授は、「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」の本家と言われるアメリカの実態について次のように指摘しています。

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「週刊東洋経済」が「雇用破壊」の大特集!!

『週刊東洋経済』2007年1月13日号

サブタイトルは「もう安住の職場はどこにもない!」。ということで、目次から内容を紹介。

正社員を襲う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の衝撃 無給長時間残業への道
パート、派遣、請負労働者の前途を阻む鉄壁 「正社員にはさせない」!?――大企業側の反撃
「労働者」の権利を持たない労働者たち 「個人請負」という名の悲惨

ということで、これから読みます。(^_^;)

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では、まず八代先生から…

経済財政諮問会議の民間議員の八代尚宏・国際基督教大教授が、格差の原因は「大企業の労働者が、(下請け企業の労働者や非正規労働者などの)弱者をだしにしているからだ」と発言。

ならば、「隗より始めよ」です。まず、八代先生自らが、時給2000円の非常勤講師と同じ給与、研究室なし、という同じ条件で仕事をされたらいかがでしょう。

労働市場改革:正社員待遇を非正規社員水準へ 八代氏示す(毎日新聞)

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派遣はあくまで一時的なもののはず

政府の経済財政諮問会議で、派遣労働者の直接雇用義務撤廃の動きが。

そもそも、派遣というのは一時的・臨時的・補助的なもの。だから、1年あるいは3年以上継続して派遣を受け入れ続けた場合は、ちゃんと正社員として雇いなさい、というのが、直接雇用義務です。これを撤廃するというのは、派遣労働者というのはそもそも一時的・臨時的・補助的なものという根本をくつがえすものです。

派遣労働者の直接雇用、政府の義務撤廃を検討 経財会議(朝日新聞)

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御手洗氏、請負の規制緩和を要求

キヤノンがらみで、偽装請負に関するニュースが2つ。

1つは、キヤノンの工場で働く請負労働者が、「偽装請負だ」として、キヤノンに正社員としての雇用を申し入れたというニュース。もう1つは、そのキヤノンの御手洗氏が政府の「経済財政諮問会議」で、請負にかんする法律が厳しすぎるとして「見直し」を求めたというニュース。

後のニュースを読むと、御手洗氏のねらいが、請負労働者に対して受け入れたメーカーが直接指示できるようにしたいというのが、「見直し」の一番の要求であることが分かります。で、その「見直し」が実現したとすると、最初のニュースの請負労働者が「偽装請負だ」と訴えることができなくなる、という仕掛けになっています。

請負というのは「業務」を請け負うもの。メーカー側がいちいち指示を出さないと生産できないようなところが業務を請け負うということ自体が、そもそもおかしいのです。

キヤノンの偽装請負、労働者が正社員化申し入れ(朝日新聞)
請負法制「無理ありすぎる」 御手洗氏、経財会議で発言(朝日新聞)

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消費税「目的税化」論のたくらみ

谷垣財務相が、財務担当大臣として、初めて消費税を目的税化すべしとの考えを表明。経済財政諮問会議でも目的税化の議論が出されています。他方で、来年の参院選にむけて、最終決定は2008年に先延ばししつつ、「社会保障のため」を口実にして増税を押しつけようという方針のようです。

しかし、前にも書いたとおり、福祉目的税化するといっても、現在の社会保障財源のうち税負担部分を全部消費税でまかなうとしたら、それだけで10%以上の増税が必要。高齢者の医療負担を増やし、年金への課税を強化し、そのうえ消費税増税…。どこが「社会保障のため」なのでしょう。

消費税 「社会保障目的」を表明 谷垣財務相(毎日新聞)
消費税の目的税化求める 諮問会議で民間議員(共同通信)

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「消費税を目的税に」発言続く

来年の参院選を意識して、政府・自民党の中では、2007年度税制改革での消費税増税の見送りの方向が濃厚になる一方で、幹部はあっちこっちで「消費税は社会保障の財源にあてる目的税に」の発言を繰り返しています。

こうやって「社会保障のためなら消費税の引き上げも仕方ない」という雰囲気をつくりながら、真正面から「消費税増税をしようとしている」と言われれば「そんなことは決まってない」などと言い逃れできるようにして、そのまま参院選を乗り切ろうという魂胆。こんな姑息なやり口は許されません。

“消費税率上げ 福祉目的に”(NHKニュース)
消費税「福祉目的税化が有力」 与謝野経財相(朝日新聞)
財政再建へ 福田氏「消費税アップ必要」(北海道新聞)

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日本経団連・奥田碵会長ら社外取締役に

日本経団連会長の奥田碵氏と、経済同友会元代表幹事(終身特別顧問)の牛尾二郎氏が、新しく発足した日本郵政株式会社の社外取締役に就任。

経済財政諮問会議の民間議員として、郵政民営化の先頭に立っておいて、民営化されたら、ちゃっかりその社外取締役におさまるなんて、あまりに都合良すぎませんか?

西川社長を正式選任へ 日本郵政会社の創立総会(中国新聞)
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党首討論会にたいする識者のコメント

東大の松原隆一郎氏は、「朝日新聞」で、「野党は対立軸鮮明に」と題して、次のようにコメントしています。

 新自由主義こそ小泉首相の掲げる理念。それがはっきりした。市場化を進め、大企業や大銀行中心の世界を目指している。郵政事業は道路公団と異なり、国民の間に「公共財」という意識があると思う。……
 一方の野党だが、首相が唱えた「市場化万能論」は米国にも、経済学者にも支持者が多く、強い対立軸をうちださないと対抗できない。……この点、岡田代表の描く理念はよくわからない。大企業をある程度規制した市場競争主義を目指しているようだが、福祉も強調した。「市場を生かすための最低限の公共財」という位置づけならばわかりやすいが、政策ごとの理念がばらばらだ。強い「自由党」になった小泉自民党に対抗できなかった。
 むしろ、郵政民営化反対論は「大銀行のためだけにやっている」と単純化した志位委員長の主張に説得力があった。共産党の主張は昔と変わっていないが、かつて中間層にも配慮した自民党の政策が、大資本に傾き始めたからだ。ただ、安全保障に関する議論が弱いため、全体的に説得力が落ちてしまった。(「朝日新聞」8月30日付4面)

安全保障問題はさておき、小泉政治が大企業・大銀行中心の政治であると、ずばり指摘されたことは大賛成。

この点では、同じ「朝日新聞」の「9・11総選挙なにが論点」で、阪大の堤修三氏が、「給付の削減は社会基盤崩す」として次のように指摘されているのが、松原氏の指摘と噛み合って興味深い。

 実は、国民負担率が上がると経済成長に悪影響をおよぼすという学問的な証拠はない。徹底的に無駄を省いたとしても、少子高齢化で給付の増大は避けられない。無理やり経済成長の範囲内に抑えれば、社会保障の機能は限度を超えて損なわれ、社会の安定と統合が危うくなる。
 ……払った分に応じて給付の見返りがある保険料は、税とは違って、本来国民負担として単純に合計できないはず。

もう1つ、松原氏のコメントで注目したのは、小泉首相の政治手法を批判したこのくだり。
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消費税増税発言 与謝野・自民政調会長

最近の消費税増税発言をあれこれ。

●9月29日、谷垣財務相が、NHKの番組で、消費税造営は避けて通れないと発言。

消費税引き上げは避けて通れない課題、今から議論が必要=谷垣財務相(ロイター)

●9月30日、財政審の財政制度分科会(会長・西室泰三東芝会長)が、消費税増税は将来避けられないとの共通認識を表明。西室会長は、会見で、わざわざ「経済界が消費税(引き上げ)導入に反対しているわけではない」と発言。財界を含め、「まず歳出削減」から「歳出削減と増税の同時進行」へと路線転換をアピールしたということか。

<財政審>「消費税率引き上げ必要」との認識で一致(毎日新聞)

●10月3日、与謝野薫自民党政調会長が、消費税増税の議論を党内で進めると発言。

消費税引き上げ議論を 与謝野政調会長(共同通信)
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