英女王「どうして危機が起こることを誰もわからなかったの?」

「朝日新聞」2012年10月11日付

「朝日新聞」2012年10月11日付

10月11日付の朝日新聞「カオスの深淵」の2面に載っていた話。この記事自体は原発問題の記事なんですが、そのなかで、こんなエピソードが紹介されていました。

2008年11月、イギリスのエリザベス女王が、ロンドン大学経済政治学院の開所式で、リーマン・ショックについて何気なく「どうして、危機が起こることを誰も分からなかったのですか?」と質問したことに、並み居る経済学者たちがこたえられなかった、というのです。

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英ガーディアン紙 ”マルクスは銀行家のためにセラピーを提供などしない”

イギリスのガーディアン紙のサイトに、2月2日付で、こんな論評が掲載されておりました。題して、「カール・マルクスは銀行家のためにセラピーを提供などしない」

経済危機で誰もがマルクスを取り上げるようになったが、マルクスは決して慈悲深い救世主ではないし、彼が書いたものの実践的な意味はあまり知られてはいない、というお話です。

Karl Marx is never going to provide therapy for bankers | Jason Barker | guardian.co.uk

ということで、にわか仕込みのヘッポコ訳です。(一部脱文を追加。さらに全体に手を入れしました。2/8午前)

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資本主義に自浄能力は期待できるのか?

「日本経済新聞」の元旦社説は、清沢洌まで引っ張り出して、国家戦略による「資本主義の進化」を要求している。それに比べれば、同じ「日経」でも、大晦日のコラム「大機小機」の方がよほどまともなことを言っている。曰く――

  • 「先進国で広がる体制の危機は、四半世紀に及んだ経済運営の諸矛盾が限界に達したことを示している。行き過ぎた経済のグローバル化、市場化、金融化の弊害だ」
  • 「効率優先の市場主義は、為替を含む急激な価格変動で、経済と国民生活を不安定にしただけではない。勝者総取りを是とする思想と相まって、中間層がやせ細る富の偏在と格差拡大の社会的不均衡を生み、社会の分裂を招いた」
  • 「短期の資本移動を抑制する国際的な枠組み作りが重要」「金融を規律付ける再規制は喫緊の課題だ」
  • 「所得と資産格差の是正は、税・財政による再分配機能を強化する政府の役割である。過度な報酬制度でゆがんだ部分があれば、企業の分配政策の是正も課題になる」「政治と経済の目的は国民生活の安定と向上にある」

しかし、コラム子が言うように、はたしてこれが「資本主義の自浄能力」によって達成されるのだろうか? そうでなければ、社会の力でルールを確立しなければならない。

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「ソ連=社会主義」論に立つ限り展望は見えてこない

本日の「日本経済新聞」のコラム「大機小機」が、「左翼はどこへ行った」という題して、「資本主義がこれほど欠陥をさらしているのに、その批判者の左翼、すなわち社会主義勢力は、なぜか振るわない」と論じている。

左翼はどこへ行った:日本経済新聞

ソ連の崩壊で社会主義勢力が困難を強いられていることは事実だが、「大機小機」のようにソ連を社会主義の代表扱いする見地からは、社会主義の展望が見えてこない。

しかし、このコラムで大事なことは、いまや「日本経済新聞」でさえ左翼を必要としているという事実だ。それだけ、資本主義が次々と欠陥をさらけだしている、ということでもある。

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エンゲルスの「資本主義の根本矛盾」の定式化をめぐって

先日の古典教室では、エンゲルスが『空想から科学へ』のなかで定式化した「資本主義の根本矛盾」について、講師からかなり立ち入った問題点の指摘がありました。

講師が「私が疑問に思うのは」として指摘したのは、以下の4つの点。

  1. 社会的生産と私的取得との矛盾というエンゲルスの定式には、肝心の剰余価値の搾取が出てこない。
  2. プロレタリアートとブルジョアジーの対立が、根本矛盾の「現象形態」とされているが、しかし、これは資本主義の階級対立そのものであって、何か別の矛盾の「現象形態」だったりするのか?
  3. 生産の無政府性は、商品生産の特徴であり、資本主義以前から商品生産社会では起きていたこと。それが資本主義になるとより大規模に起こる、というだけでは、資本主義の矛盾を説明したことにならない。
  4. このあと、資本主義の枠内ではあれ生産の社会的性格の商品をせまられるとして、株式会社、トラスト、国有化があげられているが、エンゲルスは、これらをもっぱら生産の無政府性を解決するための資本の発展と見ている。それで20世紀から21世紀の資本主義をとらえることができるか?

私が、講義を聞いていて、とくに「なるほど」と思ったのは、この第4の点です。

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現在の資本主義世界経済をどうとらえるか

『前衛』2011年4月号

『前衛』2011年4月号

日本共産党の発行する政治理論誌『前衛』4月号に、リーマン・ショック後の現在の資本主義世界経済をどうとらえるか、をめぐる2つの論文が掲載されています。

  • 高田太久吉「世界不況は終わったのか」
  • 大槻久志「金融恐慌後の資本主義をどう把握するか」

それぞれ個性的な論文だけれども、おもしろく読みました。

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BBCが27カ国世論調査 “資本主義はうまくっている”は11%

少し古い話ですが、11月、イギリスのBBC放送が世界27カ国でアンケート調査の結果を明らかにしました。

「自由市場資本主義」について質問したところ、「それはちゃんと機能している」と答えた人は全体で11%しかなく、フランスでは4割以上が「違う経済システムが必要だ」と回答しています。(@_@。

Free market flawed, says survey : BBC NEWS

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志位委員長 村上龍「カンブリア宮殿」に出演!!

志位委員長が「カンブリア宮殿」に出演(テレビ東京、2009年1月19日放送)

テレビ東京「カンブリア宮殿」に、日本共産党の志位和夫委員長が出演。村上龍氏、小池栄子さんと対談しました。

なるほどと思ったのは冒頭、村上龍氏が番組の意図を説明したくだり。村上氏は、「今日は僕のアイデアで、志位さんに来てもらった」と断った上で、こんなふうに問題関心がどのあたりにあるかを明らかにしました。

 昨年から続いている「派遣切り」とか「雇い止め」とかで、いま日本のなかの不公平感が社会の許容量を超えて広がりつつある。それは社会の安定にとって非常によくないと思う。そんななかで、一部の若者たちが共産党を支持したり、新しく党員になったりしている。そこで、共産党が本当に受け皿になれるのか、そのあたりを率直にうかがいたい。

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来週の「カンブリア宮殿」に志位委員長登場!!

村上龍が毎週経済人と対談するテレビ東京の「カンブリア宮殿」。来週1月19日の回に、なんと日本共産党の志位和夫委員長が登場します!!

すでに「カンブリア宮殿」のホームページに次回予告が出されています。放送は、19日(月)夜10時から。

カンブリア宮殿:テレビ東京

テレビ大阪、テレビ愛知、テレビ北海道、テレビ瀬戸内、TVQ九州放送、岐阜放送、びわ湖放送、テレビ和歌山でも同じ時間に放送されます。BSジャパンでは木曜日午後9時から放送されます。その他の地方局での放送については、こちらをご覧ください。

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田原総一郎氏が考える、いま「資本論」が読まれる理由

もはや旧聞に属するが、田原総一郎氏が日経BPネットの連載コラムで「今、『資本論』が読まれる理由」という記事を書いておられる(2008年12月18日付)。

田原氏は、共産党の志位委員長が社会民主主義をめざすと明言したかのように書かれているが、もちろん、そのようなことはない。他にもいろいろツッコミどころはあるのだが、それはともかく、「ルールなき資本主義」に代わって「ルールある資本主義」が必要だと述べられている点、また、いまあらためて「労働とは何か」「企業とは何か」を考えるときであり、だからこそ『資本論』が読まれているのだ、という指摘はまったくそのとおりだ。

暴走した自由主義の反動? 今、「資本論」が読まれる理由 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

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志位委員長、こんどは『サンデー毎日』に登場!!

『サンデー毎日』2008年11月30日号

『サンデー毎日』11月30日号(11月18日発売)に、志位和夫・日本共産党委員長が登場しています。

題して、「志位和夫共産党委員長が糾す ルールなき資本主義」。3ページにわたって、志位委員長へのインタビューを掲載しています。

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分かっていただけましたでしょうか? (^^;)

「朝日新聞」2008年11月14日付

朝日新聞(11月14日付)の「ニュースがわからん!」コーナーで、日本共産党が取り上げられました。

共産党が「ルールある資本主義」を訴えているといって、「共産党が変わった?」の見出しがついてますが、共産党が資本主義の枠のなかで経済民主主義を実現しようというのは、40年以上前からずっと同じです。(^^;)

それでも、月刊「BOSS」に載った志位委員長の講演や蟹工船ブームなどにも注目した記事です。お読みになった皆さんの疑問は解決したでしょうか?

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共産党委員長、資本主義の健全な発展を説く

月刊『BOSS』12月号から

こちらは、共産党の志位和夫委員長の講演が載った月刊『BOSS』12月号。9月22日におこなわれた「経営塾フォーラム」例会で、志位委員長が講演したものの要約です。テーマは「日本共産党委員長が語る『蟹工船ブーム』と『格差社会』」

この中で志位委員長は、日本共産党は「資本主義の体制が未来永劫続くとは考えていない」が、「いままずやるべき課題は、資本主義の枠内で日本の政治の異常な歪みを正そうというプログラム」だ、だから「資本主義の原理で仕事をされている方とも、当面は共存共栄できる関係にある」と話し始めています。

そのうえで、正すべき「異常な歪み」について、次のように指摘。

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シラク仏前大統領「過度の自由主義は時代遅れ」

12日付「日本経済新聞」に載っていたシラク仏前大統領へのインタビュー。

シラク前大統領は「自由主義の行き過ぎは……時代遅れだ」「我々は節度と慎みを欠きすぎた」「社会的な資本主義をつくり直す必要がある」と指摘しています。

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アメリカ資本主義の終わり?

アメリカの主要新聞「ワシントン・ポスト」が、10日付で、「アメリカ資本主義の終わりなのか?」という論評を掲載。

W・ポスト紙論評/米型資本主義終わり?/金融危機解決策示せず(しんぶん赤旗)
The End Of American Capitalism? – washingtonpost.com

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サルコジ仏大統領、自由市場経済を否定?!

大統領に当選したとたん、アメリカ企業のカネで豪華ヨット三昧をしていたはずの、あのサルコジ仏大統領が、「市場はいつでも正しいという考えはバカげている」「自由放任主義は終わった」と宣言。

France: Laissez-Faire Capitalism is Over – BusinessWeek

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"マルクスは正しかった" 英国教会大主教が発言

イギリス国教会の大主教が、マルクスを評価する発言をした、というニュース。

英国の大主教、投機を批判/虚構が生んだ富/“マルクスは正しかった”(しんぶん赤旗)

Spectator紙に載ったというイギリス国教会大主教の発言は、こちら↓。

Face it: Marx was partly right about capitalism | The Spectator

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アメリカでも「資本主義の限界」論?!

いささか古い記事ですが、「30年来支配的だった自由市場という考えは崩壊した」「いまや保守派さえ、資本主義が病んでいることを認めている」――こんな記事が、7月11日のワシントン・ポストに載っていました。

どうやら、アメリカでも「資本主義の限界」が真剣に論じられているようです。

ワシントン・ポストの記事は、こちら↓から。
E. J. Dionne Jr. – Capitalism's Reality Check – The Washington Post

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雨宮処凜、資本主義の限界を論ず?!

『群像』2008年8月号

講談社の文芸誌『群像』8月号で、雨宮処凜さんが、評論家の森達也氏と対談をしている。森氏の議論は、盛り上げるためなのかも知れないがかなり挑発的(というか、決めつけ的で非生産的)だったが、雨宮さんの議論はしっかりしていておもしろかった。

たとえば冒頭、「プレカリアート」の運動について、森達也氏が「この運動が社会に何らかの影響を与えたというか、変えたという実感はありますか」と質問したのにたいして、雨宮さんは、こんなふうに答えて、この間の非正規雇用をめぐる運動の意義を強調している。

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共産党・志位委員長がサンプロでマルクスを語る!!

サンデープロジェクトに出演した志位委員長(2008年5月18日)

共産党の志位和夫委員長が、今朝のサンデープロジェクトに出演。

「なぜいまマルクスか」、「資本主義は限界か?」、「日本経済の問題点」、「カール・マルクス『資本論』の精神」、「投機の問題点」、「ルールなき日本の資本主義」、「貧困・投機・環境」など、約25分間にわたって、田原総一郎氏の質問に答えました。

日本のテレビで、共産党の委員長を相手に、マルクスをここまで取り上げた番組は初めてではないでしょうか。いや?、面白かったです。田原氏も自分なりのマルクス論を展開して、投機マネーや格差の問題で、けっこう志位さんと議論が噛み合ってました。

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