イラクで、日本人のフリージャーナリスト橋田信介さん(61歳)と元NHKディレクターの小川功太郎さん(33歳)の2人が銃撃を受け、犠牲となったそうです。残念でなりません。
ちょうど、この1月に出たばかりの橋田さんの本『イラクの中心でバカとさけぶ』(アスコム刊)を読んでいたところ(というか、正確には読もうと思って買って積ん読になっていたところ)だったので、とても衝撃的でした。この本を読むと、この文章がかなりぶっ飛んでいて、これが61歳のオッサンの書く文章かと思ったりしますが、しかし、テレビに映っているご本人はいたって真面目で、丁寧な語り口のおじいさんでした。日本国内では、サマワは戦闘地域かどうかとか、国際貢献すべきかどうかなど、さまざまに議論されているけれども、実際イラクでは何が起こっているのか、それを見なくちゃわかんないだろう!という気概というか、ジャーナリスト魂というか、気迫を感じます。
橋田さんは、日本人人質事件のあとの「自己責任」という口実で被害者たちがバッシングにあっているということを知ったとき、イラクから奥様に電話をして、自分が人質になっても社会や政府に「助けてください」と言うな、本人は覚悟して行ったと言え、と話されたそうです。それでかどうかは分かりませんが、今日、事件のことを質問されて、奥様は「本望でしょう」ときっぱり答えられていました。
だけれども、だからといって今回の事件を「覚悟していたんだから、いいじゃないか」ということにはして欲しくありません。橋田さんがいちばん伝えたかったことは何か。戦争というのは、実際に人が死ぬことなのだという“事実”を、橋田さん自身が身をもって実証したということは残念でなりません。何がイラクの治安をここまで悪化させたのか、何が日本人ジャーナリストや日本人ボランティア活動家たちを危険な目に遭わせているのか。そのことを考えずにはいられません。