69億6000万円もの未払い

年金問題では、国会議員の未加入・未納が大問題になりましたが、国が国民にたいして70億円近いお金を取りすぎて払い戻してないという重大問題があります。それは、高齢者の高額医療費の払い戻し制度のことです。

このたび厚生労働省は、高齢者の高額医療費払い戻し制度で、ある「通知」を発表。これが、払い戻しを受ける権利の時効延長を事実上認めるものだということで、メディアを多少にぎわしています。
高齢者の高額医療費払い戻し制度というのは、70歳以上の高齢者が、病院などの窓口で支払う自己負担額が、月の限度額を超えたときは、自分で市町村に申請して後日払い戻しを受けるという制度。限度額は住民税非課税の場合で個人・外来が8000円、世帯合算が2万4600円などとなっています。この制度は、2002年10月に高齢者の医療費の負担増がおこなわれたときにつくられたのですが、その最初の1カ月分の払い戻し請求の権利が今年9月30日で時効となり、それ以後は請求できなくなるということで、今回あらためて通知を送り、請求期限を「その通知が届いたところから2年」とすることで、事実上時効を延長させたものです。

で、驚くのは、その未払い分というのが、2002年10月分だけで21万8000件、約11億7000万円もあるということ。2003年3月までの合計だと、約120万件、69億6000万円も払い戻されていないといいます。
この払い戻し制度は、できた最初から、手続きが煩雑で巨額の「払い戻し」が生じる危険があると指摘されていました。また制度実施後も、仕組みそのものが知られておらず、実際に膨大な未払いを残してきました。国民に負担を求めておきながら、他方で、通知のために新たな手間とコストをかけるというのは、まったく逆立ちした事態です。そもそも高齢者の高額医療費の自己負担をやめ、窓口負担を引き下げるべきです。

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