佐世保の事件に関連して、精神科医の野田正彰氏(関西学院大学教授)が、いまの子どもの育ち方として「同調的な生き方」「相手に合わせて自分をよそおう文化」の問題を指摘しています。なかなか考えさせられる示唆に富んだ指摘ではないでしょうか。
野田正彰氏の指摘は、「しんぶん赤旗」6月29日付のもの。概略は以下の通りです。
――80年代以降、子どもたちは幼いころから他者との摩擦を恐れ、「同調的」に生きてきた。そのため、不快に感じることがあっても言葉に表現して、相手と対話するということが少なく、相手が自分と違う考えや感情を持っていることも理解できない。だから、不快な感覚を持ったまま、自分だけが我慢を重ねていると思い込んでしまえば、いつか「切れる」のは当たり前だ。(「しんぶん赤旗」6月29日付)
そして野田氏は、文部科学省のすすめる「心の教育」「心のノート」は、子どもの心の外枠を締め付け、「相手に合わせて自分を装う文化をますます加速させる」悪循環におちいってしまうと批判しています。