押しつけ「マッカーサー」から「アーミテージ」に

今日の東京新聞「こちら特報部」は、27日のNHK党首討論での小泉首相の「改憲で集団的自衛権を」という発言をとりあげ特集をくんでいます。その中で、政治評論家の森田実氏は、憲法改正のねらいについて「米国の従属国になることだ。“マッカーサー憲法”から“アーミテージ憲法”への転換といえる」と発言しています。

その発言とは以下の通り。

海外紛争も「ともに戦う」/“自主憲法”で米の従属国/押しつけ「マッカーサー」から「アーミテージ」に

 「米国のアーミテージ国務副長官が推進するのは、米国の言う通りに行動する日本だ。小泉首相はあいまいな言葉で、日米一体化の方向を出したいのだろう。集団的自衛権を行使するというのは、どこへ行っても米国と行動するということだ。憲法改正のねらいは米国の従属国になることだ。“マッカーサー憲法”から“アーミテージ憲法”への転換といえる」
 アーミテージ氏は国務副長官就任前、日米関係に関する超党派の研究会の座長を務め2000年10月に、「アーミテージ報告」を発表した。16人のメンバーの中にはウルフォウィッツ国防副長官、ケリー国務次官補ら現在の政権幹部とともに前クリントン政権のスタッフらも名を連ねる。
 同報告書は「日本側による集団的自衛権の禁止は、日米同盟協力の制約となっている。この禁止事項を撤回することで、より緊密で有効な安全保障協力が可能になるだろう」と、集団的自衛権“解禁”を迫る内容となっている。さらに「米英の間の特別な関係を米日同盟のモデルと考える」とも明記している。
 今年2月2日に日本記者クラブで講演したアーミテージ副長官は「今日、報告で展望したことの多くが現実となった」と発言している。日本国内の改憲論議についても触れた。
 「集団的自衛権をいかに扱うかを議論する上で、憲法改正論議が今日ほど真剣に行われたことはない、と言える。集団的自衛権は、国際社会の多くの人々にとっては常識的な考え方であり、明らかに日本でもそう考える人が増えている」
 さらに続く質疑応答では「集団的自衛において、日本に対しどのような役割を期待しているのか」という質問に答える形で「もう少しの柔軟性」「もう少しの公平な関係」を挙げた。
 森田氏は、小泉首相の強気な姿勢の背景に、そんな米国の後押しとともに「世論」の存在も見る。「憲法改正を言えば、支持が増えると考えている」

同記事は、改憲や集団的自衛権をめぐる小泉首相の発言録も紹介しています。

2001年5月
「(憲法は)永久不変のものではない。世論の成熟を見定め、改正する際には慎重な配慮を要する」「(集団的自衛権の行使を容認する方法は)望ましい形をいえば、誤解のない形で憲法改正をした方が好ましい」
2003年5月
「自衛隊が我が国の平和と独立を守る軍隊であることが堂々といえるように将来、憲法改正が望ましいという気持ちを持っているがその機運には至っていない」
2003年8月
「2005年で自民党は結党50年だ。結党時の精神が自主憲法制定だったこともあり、自民党もそろそろ政党として憲法改正案を考えるのもいい」
2004年2月
「(集団的自衛権の行使をめぐり)憲法に対する見解が対立する問題があれば、便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図るのが筋だろう」

「便宜的な解釈の変更」でなく「正面から憲法改正を議論する」のが筋だといいながら、その当の本人が、正面からの憲法改正どころか、国会審議もすっ飛ばして、イラク派兵自衛隊の多国籍軍参加を表明したことを忘れてはなりません。集団的自衛権を認めるための憲法改悪を、あたかも「筋」の通った憲法議論であるかのようにえがきだす“ごまかし”です。

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