フィリピン大統領府報道官が、10日、イラクに派遣されている同国部隊(51人)を8月20日に撤退させると表明。8月20日は、もともと現在派遣している部隊の駐留期限とされていたもの。
イラクでは、現在、フィリピン人男性が武装勢力に拘束され、武装勢力は11日までに部隊を引き揚げなければ男性を殺害すると警告しています。
フィリピン:イラク撤兵を発表――人質事件、影響か
【マニラ大澤文護】フィリピンのサントトマス労相は10日、イラクで人質となったフィリピン人運転手、アンヘロ・デラクルスさん(46)の家族にアロヨ大統領が「彼は間もなくバグダッドのホテルに戻って来る」と電話で伝えたと述べた。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは同日、デラクルスさんが武装グループに囲まれ「アロヨ大統領、どうか軍をイラクから撤退させて」と訴えるビデオを放映した。
これに先立ちフィリピン政府は同日、イラクに派遣している軍・警察部隊計51人を任期が終了する8月20日に撤退させると発表した。大統領府報道官は10日、「我々の派遣部隊は、当初の予定通り、任期が終了する8月20日に撤退する。今後の行動は、国連安保理の決定によって定められる」と表明した。
しかし政府内で派遣部隊の任期延長についての論議もあったことから、この時点での「8月撤退」発表は武装グループの要求を意識したものとの見方も一部の現地メディアから出ている。(毎日新聞 2004年7月11日 東京朝刊)