置塩信雄『蓄積論』(1)

第2章 資本制的拡大再生産

4、「均衡」蓄積軌道

「均衡」蓄積軌道について(技術変化がない場合、167ページ)

  1. 両部門の比率は毎期同じでなければならない。したがって、両部門の生産能力、生産水準は同一の変化率で変化しなければならない。
  2. 両部門が保たなければならない比重は、生産技術を所与とすれば、蓄積需要が資本家の個人消費にたいする比率 μ が大であるほど、また実質賃金率 w/p2 が低い(搾取率が大)ほど、生産部門の相対的比重は大でなければならない。逆は逆。
  3. 搾取率が正であり、資本家の蓄積需要がゼロでない限り、順調は再生産軌道は拡大再生産となり、両部門の生産の増加率gは正値をとる。
  4. 生産技術を所与とすれば、生産の増加率 g は、μ が大きいほど、w/p2 が小さいほど、大となる。逆は逆。
  5. したがって、生産財部門が、消費財部門に占める比重 λ が大きいほど、増加率 g は大となる。逆は逆。
  6. 両部門の生産能力、生産水準は毎期、変わらない増加率 g で増大しなくてはならない。

この場合、生産の増加率 g が労働供給の増加率 n を上回る場合、その経路は遅かれ早かれ労働供給の制限にぶち当たって、それ以後の継続は不可能となる。したがって、持続性を持ちうるのは g ≦ n に限られる。その場合、労働者階級の失業は不可避であり、g=n の場合には失業率は一定となる。

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