「少女たちはなぜHを急ぐのか」というタイトルですが、「なぜ急ぐのか」だけを追いかけるのではなく、10代を含めた(その中には中学生もいる)女の子の、今どきの性行動を追跡調査したルポという感じです。
で、そのリアルな実態というのは、やっぱりそれは読んでもらうのが一番。結論めいたものを要約して紹介してみても、この手のルポの値打ちは伝わらないというのが正直なところです。しかし、「周りがやってたから、あせりもあった」「その場のノリで」「こんなに愛してくれるなら、申し訳なくて」という“受け身”でのsex。さらに「20歳過ぎたら終わりだよね」という感覚。このあたりに、「なぜ急ぐのか」を解く鍵がありそうだというのが著者の答えのようです。
同時に、あらためて深刻だなあと思ったのは、性感染症の拡大と、10代の妊娠・中絶の増加。「情報」はあっても「知識」はない10代の実態にたいして、もっと社会全体で真剣に向き合う必要があるでしょう。
もう1つ、この本を読んでいて思ったのは、「じゃあ、少年たちはどうしてHばっかり追いかけるのか」ということ。10代の女の子の全部が全部、中年のエロオヤジにやられている訳ではありません。彼女らの相手の大部分は10代から20代の男の子。男性の側についても、性やsexについて、どういうイメージをもっているのか。そちらの面からも、問題の追究が必要だと思ってしまうのは、僕だけではないでしょう。
【書誌情報】
著者:高崎真規子/書名:少女たちはなぜHを急ぐのか(生活人新書114)/出版社:NHK出版/発行:2004年7月刊/定価:本体680円