学校といえば、災害の時の避難所になりますが、全国の公立小中学校の校舎・体育館など13万棟のうち、耐震性があると判断されたものは49%。残りは、耐震診断をやって「耐震性が不足」と判断されたにもかかわらず、補強されていないケースや、そもそも耐震診断さえやられていない、というもの。
今回の新潟の洪水では、避難所となっている学校そのものが水没したというところもありました。学校は、もともと地域社会の核になるところですが、災害時の避難所という意味でも、もっと学校を大切にしてほしいです。
公立小中学校の校舎、半数が耐震性不安 未診断は4万超 – asahi.com : 社会
公立小中学校の校舎、半数が耐震性不安 未診断は4万超
公立の小中学校の校舎や体育館など約13万棟のうち、阪神・淡路大震災級の大地震をしのぐだけの耐震性があると判断されている建物は半数にとどまっていることが、文部科学省のまとめでわかった。耐震性があるかどうかの診断を受けていなかったり、診断で耐震性がないと判断されても補強されずに使われたりしている建物が放置されている状態だ。
地震発生時に校舎内にいる子どもたちの被害を防ぐとともに、自宅を失うなどした地域住民の避難場所として活用するためにも、補強や改修で校舎を「耐震化」することは急務だ。政府は地震防災対策特別措置法に基づく緊急事業計画で公立学校施設の耐震化を進めている。しかし、学校を設置している市町村の厳しい財政状況が、診断や補強が一気に進まない最大の理由となっている。
78年の宮城県沖地震で校舎が壊れるなどの被害が相次いだことから、81年、新しい耐震基準が施行された。82年以降の建物は耐震能力の上では「百年建築」とされ、阪神・淡路大震災でも被害が小さかった。
文科省によると、今年4月現在、全13万1819棟のうち8万4638棟が81年以前に建てられた。耐震診断が済んでいるのは45.2%にあたる3万8272棟。そのうち、診断後に補強をした建物も含めて1万7570棟(81年以前に建てられた棟数の20.8%)が耐震性に問題はないと判断されている。
これに、82年以降に建てられた4万7181棟を「すでに耐震化されている状態」と見込んで合計すると、計6万4751棟。全棟数に対する「耐震化率」は49.1%にとどまる計算だ。
残り50.9%の6万7068棟は耐震性が確認されていない状況。内訳は、耐震診断を受けていないのが4万6366棟で、2万702棟は診断を受けて耐震性がないと判断されたにもかかわらず補強されていない。
都道府県別にみると、耐震化率がもっとも高いのは神奈川の77.2%で、静岡74.9%、三重67.5%と続く。一番低いのは香川の28.8%。徳島34.2%、和歌山38.1%の順で続く。
文科省は02年夏に自治体に対して、03年度から3年間で81年以前の建物の診断をすべて終えるよう要請した。大破や倒壊の危険度が高い建物を見極めて優先順位をつけて補強を進めさせるためで、診断の実施率は前年同期の35.0%から10.2ポイント増えた。
だが、耐震化率のほうは前年同期の46.6%の2.5ポイント増と鈍い。耐震化にあたっては、原則として費用の半額が国から自治体に補助される仕組みで、文科省は今年度は1155億円を予算計上している。政府の進める「三位一体の改革」ではこの補助金も廃止・縮減の検討対象とされ、与野党の一部には「補強工事の全額を自治体がまかなうようになると、ますます耐震化の速度が落ちかねない」と危ぶむ声が出ている。 (07/22 09:16)