日歯連からの献金1億円が政治資金収支報告書未記載だった橋本派ですが、収入については訂正したものの、支出については、いまもって使ってしまったのか、手つかずのまま残っているのかさえも分らないという状態です。
帳尻合わせ?日歯連献金、2派閥9氏が収支報告書訂正(読売新聞)
それにしても、政治資金収支報告書については、繰越金の額が本当にあっているかどうか、資金残高の確認は必要ないとのこと。団地の自治会の会計報告だって、そんな杜撰な報告は通用しません。
帳尻合わせ?日歯連献金、2派閥9氏が収支報告書訂正
日本歯科医師連盟(日歯連)からの政治献金を巡り、自民党橋本派(平成研究会)が政治資金収支報告書を訂正したが、ほかにも衆院議員9人(前、元議員を含む)と自民党の1派閥が収支報告書を訂正していたことが28日、分かった。
いずれも未記載の献金を収入として載せたが、中には、使途が明らかにならないまま、翌年への「繰越金」としたケースもある。政治資金規正法は繰越額を証明する資料の提出を義務付けていないことから、こうした“帳尻合わせ”の訂正は事実上、ノーチェック状態だ。
収支報告書を訂正したのは、自民党橋本派(1億円)のほか、綿貫民輔前衆院議長(500万円)、藤本孝雄元厚相(700万円)ら計9人と、同党の堀内派(新財政研究会)(50万円)。いずれも東京地検特捜部が日歯連を捜索した今年2月以降のことだ。
綿貫前衆院議長ら4人は、献金者名の公表義務がない5万円以下の献金や20万円以下のパーティー収入の中に、日歯連からの献金を含めていたとして、改めて献金元として日歯連の名前と献金額を明記した。藤本元厚相は、未記載分の収入は資金管理団体の借金返済に充てた、としている。
一方、残り4人と2派閥は、未記載分の寄付収入に相当する支出はなく、翌年へ繰り越したと訂正した。このうち、佐藤勉衆院議員(100万円)の事務所は「現金や預金残高を確認した上で、繰越金扱いにした」と話したが、山本幸三前衆院議員(100万円)の事務所は「献金を受けたのは事実だが、当時の担当者が辞めているため詳細が分からず、繰越金にして収支を合わせた」とした。
また、橋本派の津島雄二事務総長は今月15日の記者会見で、未記載だった1億円について、「(支出の)部分がどうなったかは特定できていない」などと説明。1億円が使われたのか、手付かずで残っていたのか未確認のまま、繰越金処理した可能性が出ている。
こうした処理について、大手監査法人の公認会計士は、「繰越金は支出をしなかった時の処理で、資金残高の確認が前提。後から収入を付け加えた際、使途が分からないから繰越金にする、というのはおかしい」と疑問を呈する。
政治資金規正法は、政治活動に伴う5万円以上の支出をした時には、領収書等の写しを収支報告書に添付するよう、義務づけている。しかし、繰越金については、残高証明書などの添付を求めていない。総務省政治資金課も「政治資金規正法は政治団体の自主性を尊重する法律であるため、総務省で行うのは計算間違いなどの形式的な調査だけ。収支報告書の記載や訂正の内容が真実かどうかを調査する権限はない」と認める。
こうした状況に関し、岩井奉信・日大教授(政治学)は「献金の記載漏れや繰越金の増額による安易な訂正が横行する背景には、政治資金の流れをきちんと捕捉できる制度が整えられていないことがある。政党助成金の形で国民の税金が使われており、政治資金の透明化には、献金の出し入れをする口座を指定した上で、記録を第三者機関がチェックする仕組みが必要ではないか」と指摘している。(読売新聞)[7月28日15時19分更新]