米軍は、横田基地の第5空軍とグアムの第13空軍と統合した上でグアムに移転するという計画を進めていることが明らかになりました。それにともない、在日米軍司令部は、キャンプ座間への移転を予定している陸軍第1軍団司令部に移されることに。どちらにしても、「極東の安全」という枠組みをまるっきり無視して、アジア・太平洋地域全体を対象とした作戦態勢に、在日米軍(陸軍も空軍も)が組み込まれることになります。
横田の空軍司令部“消滅” 在日米軍10月にも移行に着手(東京新聞)
横田の空軍司令部“消滅” 在日米軍 10月にも移行に着手
米国が進める米軍再編の一環として、在日米軍と在日米空軍の両司令部を兼ねる横田基地(東京)の第5空軍が第13空軍(グアム)を統合した後、グアム島に移転し、事実上、在日米空軍司令部が消滅する案を日本側に示していることが28日、分かった。在日米軍司令部は、米国からキャンプ座間(神奈川)に移転する予定の陸軍第1軍団司令部に移る。再編は早ければ10月から始まり、在日米軍は日本防衛から「アジア・中東地域の安定」へと大きく軸足を移す。
在日米軍の改編案はハワイの米太平洋軍から日本政府に伝えられ、今月中旬、サンフランシスコで開かれた実務者会議であらためて示された。
米国は10月から在日米軍の再編に着手したい意向で、約240人いる在日米空軍司令部の要員を段階的にグアム島に移し、最終的には約60人にまで削減する。第五空軍司令官(中将)も1、2年をめどにグアム島に移り、在日米空軍は副司令の准将が最高位となる。C130輸送機などを持つ第374空輸航空団は横田基地に残る。
これに伴い、在日米軍司令部を米ワシントン州からキャンプ座間に移転してくる陸軍第1軍団司令部に移行する。
司令官は大将に格上げされるが、これは在日米軍にアジア・太平洋全域の安定を委ねるだけでなく、中東の危機にも対応できる前線司令部としての機能を持たせるためだ。「極東条項」を定めた日米安保条約の空文化が加速されることになる。
もともと米国は島国である日本の防衛に米国の海軍力と空軍力が不可欠と判断し、空母を含む第七艦隊を置き、戦闘機部隊を配備してきた。再編により、日本防衛の任務は限りなく小さくなる。
防衛庁は在日米空軍司令部が有名無実化することを重大に受けとめ、航空自衛隊の航空総隊司令部を府中基地(東京)から横田基地に移す案を示し、日米の一体化を強調して引き留めを図ったが、米国は計画を進める方針でいる。(メモ)米軍再編
米国は米軍戦力の維持と国防費削減を両立させる狙いから、世界各地に素早く展開できるよう軍の機動性を高める一方で、兵力削減を目指している。グアム島の空軍基地には世界最大の給油施設を造り、在日米空軍との統合を模索していた。[東京新聞 2004/07/29 朝刊]