在日米軍基地再編の動きは、座間への第1軍団司令部の移転と、横田空軍基地とグアム空軍司令部の統合・移転とが優先される見込みだと産経新聞が報じています。
日本周辺の極東地域を対象とする横田・第5空軍司令部と、広くアジア・太平洋地域を対象とするグアムの第13空軍司令部との統合計画は、当初はグアムの第13空軍司令部を廃止して横田に統合するらしいと報道されたのですが、7月29日の報道あたりから、いったん第13空軍司令部を第5空軍司令部に統合した上で、司令部そのものを横田からグアムに移す計画に変更されたようです。
※第13空軍の管轄空域は、東は太平洋地域(北太平洋を除く)から、西はインド洋、マダガスカル島まで、オーストラリア、東南アジア、中国、モンゴルなどアジア太平洋の広範囲にわたっています。地図は、横田に米空軍司令部統合案を参照。
在日米軍再編計画、まず2案実現優先 座間に第1軍団司令部/横田・グアム統合
NLP岩国移転は「困難」
【ワシントン=近藤豊和】米国防総省は在日米軍再編計画でこれまで日本側に示した素案のうち(1)米陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)の米軍座間基地(神奈川県)への移転(2)米軍横田基地(東京都)とグアムの空軍司令部統合?の実現を当面、目指す方針であることが分かった。米側は8月下旬か9月中に再度、日米政府間協議をし、年末までに外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き基本合意にこぎつけたい意向だ。
米軍筋によると、これまで米側が出したさまざまな素案は、昨秋の訪日で沖縄の米軍基地を視察したラムズフェルド国防長官が非効率な配置で日本側の反対が強い地域の米軍再編を急ぎ検討するよう命じ、実現の見込みが薄いものも含め列挙したたたき台だという。
この中には、(1)厚木基地(神奈川県)の事実上の撤収と夜間離着陸訓練(NLP)などの岩国基地(山口県)への移転(2)沖縄の海兵隊部隊の座間基地への一部分散配置――なども含まれていた。
しかし、厚木基地は、同じ神奈川県内の横須賀を事実上の母港とする米空母キティホークのNLP訓練に欠かせず、その移転は当面無理で、海兵隊部隊の座間基地への移転も収容施設の問題などから事実上困難であることが予測されていた。
一方、陸軍第一軍団司令部の座間基地移転については、(1)アジア全域への陸軍展開部隊の司令拠点として司令官を大将ポストに昇格する(2)在韓米軍の陸軍削減や司令部機能の縮小に伴う代替拠点とする?など再編の戦略的重点であるため実現は不可欠とされている。
ただ、同司令部には約600人の将兵がおり、家族を含めて移転した場合は座間基地の住宅など施設準備が課題となる。
横田基地とグアムの空軍司令部の統合案は、太平洋地域での空軍展開を重視し機能的に爆撃機などを運用する目的で、これも再編の重点だ。
太平洋地域での空軍重視に関しては、太平洋軍司令官を現在の海軍大将から空軍大将に変えることも検討されているという。
一方、沖縄の海兵隊部隊については、1万7000人のうち、イラクに今年2月に派遣された約3000人は任務終了後に沖縄に帰還させず、別のローテーションの部隊を投入することになる。これに伴って沖縄の部隊を一部削減したり、海兵隊訓練施設をオーストラリアに新設する訓練施設に移転したりして、沖縄の負担軽減につなげる方針だ。(産経新聞)[8月1日3時3分更新]