3年間で雇用創出23万人をねらった厚生労働省の「地域雇用受皿事業特別奨励金」制度で、実際に雇用の見通しがついたのは約3000人にとどまっていることが明らかになりました。リストラによる失業者を雇用した場合に補助金を出すというものですが、一方でリストラを野放しにしておきながらでは、雇用増は望むべくもない、ということです。
雇用創出23万人のはずが…3000人に満たず
[東京新聞 2004年8月4日夕刊]3年間で23万人の雇用創出を目指し、昨年2月に新設された「地域雇用受皿事業特別奨励金」の利用が低調で、雇用の見通しがついているのは3000人以下にとどまっていることが4日、分かった。厚生労働省は今年4月から支給対象を広げる改変に踏み切ったが、緩和措置は昨秋に続き、この1年で既に2度目。利用の伸び悩みに再度の“門戸開放”を余儀なくされた格好だ。
■05年度までの厚労省奨励金
今年6月現在での申請は388件。認定を受けた事業計画は316件で、雇用の見通しがついているのは2835人分にとどまっている。
この助成制度は、子育てや高齢者ケアなど新たな事業を対象に、リストラなどによる失業者3人以上を正社員として採用すると、事業主に(1)500万円を上限に創業経費の3分の1を支援する(2)リストラなどによる失業者(30歳以上)1人について30万円を支給する――という二つの仕組みでスタートした。
不良債権処理に伴う企業倒産やリストラによる失業者の増加を想定したもので、2005年度までに23万人の雇用を創出するのが目標。予算額は計1000億円で、利用されない分は国庫に返納される。
発足後から「支給要件が厳しすぎる」との指摘が相次ぎ、厚労省は緩和措置を検討。
昨年9月から、正社員での採用に限っていた雇い入れ条件を改め、正社員が1人でほかがパートでも制度の支援・支給の対象とした。
こうした緩和措置にもかかわらず、事業申請は伸び悩んだ。このため厚労省は緩和措置の“第2弾”として今年4月から、雇い入れが3人以上であれば、リストラなどによる失業者の採用が1人だけでも支給対象に拡大。
事業計画書も事前提出ではなく、法人登記後6カ月まで認められるようにした。
厚労省は「PR不足もあったが、奨励金のメリットを知ってもらうことで利用は広がるはず」と期待する。