景気回復は早くも低調に

内閣府が4-6月期のGDPの伸び率を発表。年率換算6.6%だった1-3月期に比べ、年率換算1.7%に低下。とくに国内需要は前期の1.3%から0.1%へ失速しました。政府は、それでも伸びていることには変わりないからと、「景気は回復基調」と強気を崩しませんが、国民の大多数を占める雇用者賃金の下落が続いたままでの「景気回復」の危うさが早くも実証された形になりました。

4-6月期の実質GDPは0.4%増、年率1.7%増 (朝日新聞)

4-6月期の実質GDPは0.4%増、年率1.7%増

 内閣府が13日発表した4?6月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響をのぞいた実質GDP(季節調整値)は前期比0.4%増、年率換算で1.7%増と、5四半期連続のプラス成長だった。ただ、年率で7%前後の高成長だった03年10?12月期、04年1?3月期に比べると大きく減速。伸び率への寄与度では、海外需要が0.3%と前期並みなのに対し、国内需要は前期の1.3%から0.1%へ急失速した。景気の実感に近い名目値はデフレの継続で、0.3%減と5四半期ぶりにマイナス成長になった。
 前期の実質成長率(年率6.6%)よりも下がったのは、家計などの民間最終消費支出の寄与度が前期の0.6%から0.3%に半減したのに加え、企業の設備投資の寄与度が前期の0.3%から0%に落ちたためだ。
 内閣府は04年度の実質成長率を3.5%と試算しているが、達成には7?9月期以降、平均で0.5%と4?6月期をやや上回る伸び率が必要だ。江利川毅内閣府事務次官は「(景気の)基調に変化はない」として、想定の範囲内との見方を示した。
 内需では、民間最終消費支出は前期比0.6%増で、1?3月期の1%増から伸び率を縮めた。エアコンや冷蔵庫、旅行関係の支出は好調だったが、小型車需要が落ちた自動車などが押し下げ要因。台風や豪雨などの悪天候も小売りでの販売額を鈍らせたとみられる。消費の牽引(けんいん)役と見られている大型テレビやDVD機器などのデジタル家電も横ばいにとどまった。
 過去2四半期で成長の柱だった企業の設備投資も前期比で横ばい。電気通信機器や半導体製造装置などへの投資は増えているが、工場やオフィスなどの建設が減り、前期までの大型投資が一段落したことによる反動減とみられる。企業の商用車購入も「三菱自動車の欠陥隠し問題による買い控えが影響しているのではないか」(内閣府)。ただ、設備投資全体を前年同期比で見ると8%増で、「高水準での横ばい」(同)という。
 公共需要では、公共事業の削減で公的固定資本形成が前期比5.1%減と大幅減が続くが、介護・医療費増加で政府最終消費支出は微増だった。公需全体では、成長率を0.2%分押し下げた。
 外需では、輸出が、アジア向けの半導体、欧州向けの自動車の好調で前期比3.5%増と堅調。輸入は大型航空機などで2.0%増だった。輸出入の差を示す外需の成長率の寄与度は前期と同水準で、景気を下支えする。
 所得を示す雇用者報酬(名目値)は前期比0.2%増だが、企業の社会保障負担が増えたことによるもの。前年同期比では0.9%減と減少が続いており雇用者が受け取る賃金では下落傾向のままという。
 また、経済全体の物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比マイナス2.6%で、前期と同水準。このため名目成長率もマイナスに落ち込んだ。内閣府の試算では、04年度の名目成長率は1.8%で、達成には残る3四半期で平均0.6%と実質値の目標達成より高い成長が必要だ。 (08/13 11:39)

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