以前、新幹線の運転手が列車運転中に携帯でメールをしていたというので新聞で大きく取り上げられたことがありました。しかし、危険度で言えば、新幹線は運転手が居眠りしていても安全に運行できるほどの自動列車制御装置(ATC)が設置されていて、運転手の仕事といえば停車駅で最後にブレーキをちょっと緩めて正しい停止位置に止まらせることぐらいしかありません。だから、携帯メールぐらいで「運転中に危険だ」と騒ぐ理由はまったくないのです。
もとはといえば、あの新幹線運転手の事件は、出会い系サイトで知り合った人妻とメール交換しているのを知った旦那の方が、けしからんとJRに訴えたのが発端。だから、問題は「不倫」の方であって、運転中のメールが危険かどうかじゃなかったのです。それを「不倫」で処罰するのはばつが悪いと思ったJRが「危険だ」といって運転手を処分したもんだから、問題が変な方向にずれてしまったのです。
それにたいし、実際に非常に危険であるにもかかわらず何の注意も批判も受けず、事実上野放しになっているのが、自動車・バイクの運転中の携帯使用です。新幹線の携帯事件のあと、新聞にはあっちこっちで電車の車掌が携帯を使っていたなどといってバッシングする記事が載っていましたが、どうしてマスコミは、ぜひ同じかそれ以上の熱意を持って自動車・バイクの運転中携帯使用を取り上げないのでしょうか?
まあ、そうなればまず最初に、自分のところの新聞記者の運転中携帯使用を記事にしなければならないでしょうが…。でもそれぐらいの覚悟をもって取り上げないと、ほんとに運転中の携帯使用はなくならないでしょう。
運転中の携帯電話 9割、危険を認識 (産経新聞) – goo ニュース
で、産経新聞社は自分のところの記者はどうなんでしょう?
運転中の携帯電話 9割、危険を認識
電子商取引支援などのIRIコマース&テクノロジー(東京)が行った運転中の携帯電話の利用調査によると、回答者の九割が危険と認識している一方で、六割が通話しており、「やめたくてもやめられない」という携帯電話ユーザー層の存在が浮き彫りとなった。
このアンケートは同社が運営する自動車ニュースサイト「レスポンス」で5月に実施された。有効回答数は約6000件。
回答によると、運転中に発・着信ともするが約30%、着信のみや重要なものだけもあわせると約58%が何らかの形で通話している。メール利用者も約38%に上った。逆にドライブモードや留守番電話にするとの回答は約15%にとどまった。
一方で危険性の認識は、通話で約93%、メールでは約98%に達した。仕事や生活の必要性から、危険と知りつつも利用を続けている状況にある実態が浮かび上がった。[産経新聞2004年08月15日(日) ]