結局、日本側の現場検証を認めないまま、米軍は事故ヘリの撤去作業を開始。
米軍、飛行訓練を再開 事故機撤去作業も開始(共同通信)
「県民無視」怒りの声 県警、見守るだけ(琉球新報ニュース)
米軍、飛行訓練を再開 事故機撤去作業も開始
沖縄県宜野湾市の沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故で、米軍幹部が16日、市長らに謝罪する一方で事故機種以外の飛行訓練の再開を通告した。事故現場では米軍による機体撤去に向けた作業も始まった。
在沖縄米海兵隊基地司令官のジェームズ・フロック准将は16日午前、同市の伊波洋一市長を訪問。事故について謝罪する一方で「事故機種以外は徹底した安全調査をした上で、本日午前11時から飛行(訓練)を再開する」と通告した。
普天間飛行場からは同日午前11時20分ごろ、固定翼機KC130輸送機の離陸が確認された。
事故現場では同日朝から、米軍による機体撤去に向けた周辺樹木の伐採が始まり、機体搬送用とみられる大型トレーラーも構内へ入った。沖縄県警が求めている現場検証に同意しないままでの撤去作業に、米軍に対する地元の反発が強まりそうだ。(共同通信)[8月16日13時37分更新]
「県民無視」怒りの声 県警、見守るだけ
「ここは治外法権なのか」。米軍ヘリ沖国大墜落事故から3日が過ぎた16日午前、県内で起きた大事故にもかかわらず県警が現場検証さえできず手も足も出せない状況にいらだちの声が上がっている。事故現場では機体の撤去に向けて米軍による木々の伐採が行われたが、付近住民からは「いったい何が行われているのか」と不満が続出。沖国大側は「普天間基地の1日も早い返還を要求する」と米軍側に抗議文を突き付けた。大事故の情報をまったく開示せず、県民を無視した米軍の対応に怒りが渦巻いている。
米軍は16日早朝、沖国大の墜落現場周辺の伐採作業を開始した。米軍との合同の現場検証を求め続けている県警に対し、同意の回答はない。数台のチェーンソーを手に次から次へと木々をなぎ倒す米兵を横目に、県警捜査員はカメラやビデオで撮影し、ただ見守るだけの状況。県警幹部は「たとえ機体がなくても、調査はできる。法律上(機体撤去は)仕方ない」と憤りを示した。
同幹部は「法律で強制できない以上は、致し方ないだろう」と話す。しかし、県警の手を一切出せずに、機体が持ち去られようとしている状況に、歯がゆさをにじませた。現場検証の求めに米軍からの回答はなく、「機体がなくても検証はできなくもない。ただ、原因の究明に向けて支障が出ることは間違いない」と語る。
米軍の対応については「乗員の名前や年齢、その後の容体など事故発生以来まったく情報が入ってこない。これまでの米軍のやり方をみると、乗員からの聴取も遅れるだろう」と不信感を募らせた。
4日間も大学前の市道は封鎖され、周辺住民への説明も一切なく米軍の作業が進むことに、住民から「ここは治外法権なのか。この事故で日米の力の差をまざまざと見せ付けられた感じだ」などと怒りの声が上がった。
米軍側は午前8時すぎにチェーンソーなど器材を乗せた車両3台が現場に到着。同30分に待機していた米兵20人ほどが機体周辺の植木鉢を職員駐車場横の空き地に運んだ。40分には約10人のヘルメットをかぶった米兵が木々の伐採を開始。1時間半ほど作業した後、クレーン車2台が出て、大木の伐採を始めた。
大学周辺では午前7時半ごろから、学生らによる抗議集会も断続的に行われている。
沖国大米軍ヘリ墜落事件対策本部の富川盛武副本部長は、米軍が墜落現場の周辺の樹木を伐採したことについて「宜野湾署に証拠保全を要求したが、地位協定という壁があり、実効力がなかった」と指摘した。(琉球新報 夕刊 04/08/16)