「過労死自殺」の防止のため、厚労省は、月100時間を超える長時間残業をやっている労働者に医師による心身チェックを企業側に義務づける方針を決めたそうです。これは、「過労死自殺」した人の半数が月100時間以上の残業をしていたという厚労省の調査を踏まえたもの。
こうしたチェックによって「鬱」が発見され、適切な対応がなされればそれにこしたことはありません。しかし問題は、月100時間超などという残業が放置されていることです。チェックするなら、そこのところをチェックし、企業に直ちに改善させるようにすべきでしょう。それを放置したままでは、ノルマに追われた労働者の方が医師に対して「大丈夫です」と答えざるをえない立場に追いこまれるだけ。結局、「医療チェックしていたが、そのときは本人も“大丈夫だ”と言っていた」などというこになって、企業側の責任を軽くすることになりかねません。まず残業時間の上限を法律で決め、「裁量労働制」など長時間残業を野放しにしかねないやり方をきちんと規制すること、そして労基署がもっと日常的に残業時間管理をチェックする体制をつくり、企業側への指導権限を持たせるようにすべきです。
医師の面接義務付けへ 過労死、自殺対策で法改正
過労死や過労自殺を防止するため、厚生労働省は18日、労働安全衛生法を改正し、月100時間を超える長時間の残業をした労働者を対象に医師による心身のチェックを企業側に義務付け、企業の責任を明確にする方針を決めた。厚労省の検討会が同日まとめた報告書を受けた。審議会を経て来年の通常国会で、法改正を目指す。
近年、心筋梗塞(こうそく)やうつ病などによる過労死、過労自殺が急増しており、働き過ぎやメンタルヘルス対策が急務となっている。
報告書では、月100時間以上のほか、2?6カ月間に月平均80時間を超える時間外労働(残業)をした労働者を「ハイリスクグループ」と規定。(共同通信) – 8月18日17時53分更新
↓こっちが厚労省の調査にかんする共同の記事。
半数が残業100時間以上 仕事ストレスの自殺者
仕事のストレスによるうつ病などの精神障害で自殺した人の半数が月に100時間以上の残業をしていたことが、2002年度に労災認定を受けた自殺者らを対象に、厚生労働省研究班が初めて実施した長時間残業調査で分かった。東京都港区で開かれる日本産業精神保健学会で11日発表する。
主任研究者の黒木宣夫東邦大佐倉病院助教授は「長時間残業と精神障害発症は因果関係があると考えられる。企業は専門の医師の診療を受けやすい環境をつくるなど精神面でも職員の健康に配慮していく必要がある」と訴えている。
研究班は、仕事が原因の精神障害で自殺したとして02年度に労災認定されたほぼ全員と、1999?2001年度までに黒木助教授が認定にかかわった人を合わせた計51人を対象に、残業時間などを調べた。
その結果、自殺した前の月の残業時間が100時間以上だった人が27人で全体の53%を占めた。44時間以内だった人は7人、45時間から79時間は11人、80時間から99時間は6人だった。(共同通信)[6月11日2時20分更新]