昨日は引越作業が完了したので、夕方から映画を見に行ってきました。「16歳の合衆国」(原題は“The United State of LELAND”)という映画です。予告編で「なぜ、僕は恋人の弟を殺したのか?」というふうに紹介されているので、どういう事件が起こったかは最初から明らかになっているので、テーマは「なぜ、彼は恋人の弟を殺したか」ということになる訳です。
しかし、主人公リーランド・P・フィッツジェラルド役のライアン・ゴズリングが16歳に見えない。1980年生まれというから、まあそれも仕方ないかも知れないけれど、そもそもそこからなんかチグハグ。
リーランドの恋人で、殺された少年の姉ベッキー・ポラード役のジェナ・マローンは、精神的に不安定な少女の雰囲気がよく出ていたし、それなりの“色気”もあってよかったのですが…。
殺される弟というのは精神障害者(自閉症?)ということになっているのですが、この弟の描かれ方が表面的というか通り一遍というか、そういうところから、いろいろ屈折のあるベッキーの弟に対する気持ちや、ポラード家の複雑な家庭事情というのも、イマイチぴんと来ない。だから、リーランドが何故彼を殺すことになったのか、それも分からないという関係になっているのだと思います。しかも結末がまた、何が言いたいのか分からない…。
リーランドの両親はリーランドが子どもの時に離婚していたりして、そういうのがリーランドの精神形成にある種の屈折をもたらしたんだろうなぁというのは分かりましたが、では離婚しない正しい結婚と家庭をというのが主張かというと、そうとも思えないし、16歳の少年とはるかに年上の女性との“禁断の愛”というのもエピソード的に登場するだけで、それがどういう意味を持つのかという展開はないし…。いっぱい仕掛けを作ったけれども、結局、なんだかよく分からないままに終わってしまったという感じでした。
製作とリーランドの父親で人気作家アルバート・T・フィッツジェラルド役はケビン・スペイシー。映画「ライフ・オブ・デビット・ゲイル」(2003年)でもそうでしたが、社会派的な問題を描いているのですが、意味ありげな問題提起に終わっているという感じがするのは僕だけでしょうか?
【映画情報】監督・脚本 マシュー・ライアン・ホーグ/製作 ケビン・スペイシー/出演 ライアン・ゴズリング(リーランド)、 ドン・チードル(パール・マディソン)、クリス・クライン(アレン・ハリス)、ジェナ・マローン(恋人ベッキー)、ケビン・スペイシー(リーランドの父親) 他/2003年米