米軍の準機関誌「星条旗」(Stars & Stripes紙)27日付は、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件の記事を掲載。その中で、現場に一番最初に駆けつけた海兵隊員たちが、墜落したヘリのパイロットの操縦を「素晴らしい操縦をした」と褒め称えたそうです。
まあ、確かに住宅地のど真ん中に墜落するのに比べたらマシだったのかも知れませんが、墜落した大学の本部棟には教職員がいたし、キャンパスには学生もたくさんいたのだから、「素晴らしい操縦」などと褒めて“美談”になんぞされたら、たまったものではありません。犠牲者が出なかったのは、ほんと偶然なのですから。
それより、事故直後に現場に駆けつけた海兵隊員が独断で現場を封鎖し、現場の写真を撮った日本人に向かって「フィルムをよこせ」などと迫ったというのですから、たんなる緊急対応の範囲を超えています。
米軍、星条旗で自画自賛「素晴らしい操縦」
米軍準機関紙「星条旗」は27日、米軍ヘリ沖国大墜落事故直後、現場に早く駆けつけた海兵隊員を取材した記事を掲載し、市民への被害を防いだパイロットを「素晴らしい操縦をした」とたたえるとともに、現場を封鎖したのは、たまたま早く駆けつけた海兵隊部隊の判断だったことなど、事故直後の模様を詳しく報じた。
同紙によると、13日午後2時、普天間基地内のスティンガー地対空ミサイル中隊が隊列を組んでいた際、上空のヘリの後部回転翼が落下するのに気付き、上官が現場に行くように命じ、約100人が約500メートル先の現場に走った。有刺鉄線をよじ登って越えたため、6人がけがをした。
最初に到着した兵士が、コックピットに挟まれていた乗組員を救出。約10歩離れた時、機体が爆発し、もう一歩で生命が危うかったという。
同部隊の軍曹が、市民が集まりだし、燃え上がる機体に近付かないようにするため、現場封鎖と車両の通行制限を命じた。警察権がない部隊が独自の判断でキャンパスの中で非常線を敷いたわけで、緊急対応の在り方に疑問を生じそうだ。
海兵隊員たちは「素晴らしい操縦をした」と民間人のけが人を避けた乗組員をたたえている。◇「ビルにちょっと傷」 米大使館背景説明
【東京】駐日米大使館は27日午前、報道陣を招いて米軍ヘリ沖国大墜落事故に関する背景説明を行った。説明した在沖第3海兵遠征軍の担当官は「県民に大きな心配をかけたのは申し訳ない」と繰り返したが、事故については「大学の敷地に緊急着陸した」「不時着した」「大学の施設に触ってしまった」「ビルがちょっと傷を受けてしまったが、中の人たちを安全なところへ避難させた」と説明した。実態と大きくかけ離れた認識は、県民の反発をさらに招きそうだ。
事故原因について同担当官は「後部回転翼の固定器具が外れたが、物理的な故障か、部品取り付けの不具合(によるもの)か、まだ分かっていない」と述べた。その一方、「原因は事故機特有のもの」と再三強調し、事故機特有と断定する根拠を問う報道陣の質問には「事故の流れ、墜落の状況を見て調査官が結論付けた」と繰り返すばかりで、明確な返答はなかった。
事故前後の流れについては(1)当日の午後2時17分に管制塔が緊急信号を受信(2)2時18分に事故機が“緊急着陸”(3)2時19分、別の航空機が管制塔へ火災を報告-と説明した。同型機のCH53Dは一個編隊が日本にあり、岩国基地所属で現在は普天間基地に配備されていると明らかにした。22日の飛行再開で飛び立った6機を除く5機の同型機については近く岩国基地に戻すことを示唆した。
日本の警察当局との協力関係については「現場で一緒に調整した行動を取った」と表現し、県警の捜査を拒否した件については「地位協定に準拠した」と述べるにとどまった。日本政府の要請を無視し、飛行再開を強行したことについては「対テロ作戦の使命を帯びていたから」と答えるだけだった。(琉球新報) – 8月27日15時5分更新