プロ野球選手会、交渉継続

プロ野球選手会のストが、当面11日、12日は回避されることになりました。大方の予想が「ストは避けられない」というものだっただけに、ともかく話し合いを継続することで合意したのは非常に意外でした。

6項目の暫定合意事項を見ると、近鉄・オリックス合併についてシミュレーションをやり直してみる、新規参入を促進する方向で加盟料などを撤廃する、ドラフト制度の改革についても委員会を設置して1年かけて検討するなど、選手会の一番の要求である近鉄・オリックス合併の1年延期は認められていないとはいえ、選手会側の筋を通した要求が相当程度に認められています。

ここまで球団側が譲歩せざるをえなかったのは、何よりも、選手会のストにたいするファンの支持の高さです。各種世論調査でも、7割、8割が選手会を支持すると回答していましたが、こうした世論が球団側への相当な圧力になったと思います。また、選手会側が「巨人がパリーグに移る」などというナベツネの“脅し”に振り回されず、原則的な要求を掲げ続けたことも、こういう交渉ごとの場面では非常に重要なことだったと思います。その上で、選手会が、さしあたり明日、明後日のストを見送って柔軟な対応を見せたことは、ファンや世論をさらに味方につけるもので、球団側も、選手会が相当に手強い「交渉相手」であることを認識したのではないでしょうか。球界再編というそもそもの問題をどこかに置き忘れて、「プロ野球史上初のスト突入か?」というところだけに焦点を当てていたメディアも、肩すかしを食らったようで、夕方5時直前の記者会見を受けてニュース番組をどう組み替えるか右往左往ぶりが滑稽でした。

プロ野球スト:今週末は実施せず 交渉を継続(毎日新聞)

プロ野球スト:今週末は実施せず 交渉を継続

 プロ野球の大阪近鉄、オリックスの合併問題で、労働組合・日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB、根来泰周コミッショナー)は10日、ストライキ回避へ向けた団体交渉に当たる協議・交渉委員会を大阪市内で再開。選手会が申し入れた合併の1年凍結について、NPB側が「交流試合の導入を踏まえて、来季の影響などを具体的に分析する」と歩み寄るなど双方が6項目で暫定的に合意したため、選手会は11、12日の公式戦についてはストを実施しないことを決めた。
 選手会は改めて最終期限を「17日午後5時」に設定。18日以降の今月中の土、日曜にストを行うかどうかは16、17日に改めて協議して決める。10日に双方が暫定合意に達したのは、選手会が日本のプロ野球で初めて予定したストの最終期限「10日午後5時」の直前で、NPBの瀬戸山隆三選手関係委員会委員長(ロッテ代表)と選手会の古田会長らがそろって記者会見した。
 このほかの合意事項は▽新規参入球団の加盟料(60億円)、球団譲渡などの参加料(30億円)を撤廃し、球団の加盟促進を積極的に検討する▽来季の球団数はセ・リーグ6球団以上、パ・リーグ5球団以上とすることを確約する▽NPBと選手会で「プロ野球構造改革協議会」(仮称)を設置し、1年間、ドラフト、年俸問題を協議する▽17日午後5時までに妥結すればストを行わない――などで、NPBが大幅に譲歩する内容が含まれている。一方、選手会が強く求めていた近鉄、オリックスの合併1年凍結については可能性が残されているとはいえ、実現が保証されているわけではない。
 古田会長は「大阪に近鉄バファローズが残る可能性があるという回答だったので、この2日間にストを決行できないと判断した。いい回答が得られると期待したい」と語った。これに対し、瀬戸山委員長は「(8日の)オーナー会議で両球団の合併が承認されたが、(オーナーに)もう一度話をする」と語り、来季の球団数に関しては「球団の消滅はないことが前提」と説明した。【湯浅聡】

◆NPBと選手会の合意事項骨子◆

  1. NPBは交流試合を導入し、近鉄、オリックスの合併を1年延期できるかどうかを選手会に回答
  2. 新規参入球団の加盟料、参加料を撤廃し、保証金制度を導入、新規加盟の促進を積極的に検討
  3. 来季はセ・リーグ6球団以上、パ・リーグ5球団以上とする
  4. 両者はプロ野球構造改革協議会(仮称)を設置し、ドラフト改革、年俸などについて協議する

毎日新聞 2004年9月10日 16時36分

プロ野球選手会、交渉継続」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 青い空は大嫌いだ水色の空は大好きだ

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