『決意!合併・1リーグ制NO!宣言』

決意! 合併・1リーグ制NO!宣言

先週末のストライキは回避されたとはいえ、まだ近鉄・オリックス合併問題は解決しておらず、今週の経営者側の対応が注目されますが、そうしたときにプロ野球選手会と同会長・古田敦也選手が編集した『決意! 合併・1リーグ制NO!宣言』が緊急出版されました。

このなかで古田選手は、あらためて「なぜ合併・1リーグ制に反対するのか」、自分たちの率直な心情を語っています。

 「企業の論理は赤字が出たら、その部門は切り捨てる、あるいはリストラを行うというのは当たり前のことなのかもしれません。今回の近鉄とオリックスの合併も、球団経営をしている人にとっては当然の処置だと考えられているのでしょう。だから、その当たり前のことを選手やファンに説明する必要はないと考えられているようです。
 しかし、何十年もの間、数え切れないファンに愛され、支えられてきたプロ野球を企業の論理だけで考えていいのでしょうか。プロ野球が日本人の文化や娯楽として定着し、ファンに夢や希望を与えてきたこれまでの歴史や実績を考えていただきたいと思います」(同書、22?23ページ)

バッファローズの磯部公一選手の「自分の球団のことだとはどうしても信じられなかった」という率直な気持ち、そしてたぶん、いろいろ困難な状況があるなかで、きちっと選手会と一丸となってがんばっている巨人選手会長の高橋由伸選手の短いコメントが印象的です。

また、8月9日に開かれた「第5回プロ野球の明日を考える会」(選手会主催)のシンポジウムも収録されていますが、「誰のために野球をやっているのか分からなくなった」(北川博敏選手)、「ゲームに集中できない環境が多い中でプレーするのは辛い」(大村直之選手)という近鉄選手の率直な発言は、やっぱり今回の出来事がどう考えても異常だということを痛感させてくれます。

選手会のストライキに賛成の人も、疑問を持つ人も、ぜひ読んでほしいと思いました。「いいプロ野球を作っていきたい」という選手たちの気持ちが伝わってきます。

【書誌データ】古田敦也会長・日本プロ野球選手会編『決意! 合併・1リーグ制NO!宣言』(双葉社刊、本体476円+税)

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