プロ野球のストライキについて、新聞各紙はどういう立場を取っただろうか。社説などを見比べてみた。
- 毎日新聞「責任はNPBの怠慢にある」(18日「社説」)
- 「(新規参入について)カレンダーに照らし合わせてみるまでもなく、来春に間に合うだけの十分な時間はある。『公正な審査をするには、時間はない』というNPB側の言い分には、協約上、説得力はない。時間があるのに1年後回しにするのは、NPB側の職務怠慢である。その結果、ストが行われるのだから、『どっちが悪い』と聞くまでもなくストの責任はNPB側にある。損害賠償など、論外の話だ。」
- 朝日新聞「このストを生かせ」(18日「社説」)
- 「時間を延ばした交渉で、選手会は新規参入について、来季に向けて最大限努力してもらいたいとまで譲歩した。…だが、経営側はこれを認めれば合併の意味が無くなると考えたのだろう。新規参入について『最大限努力する』という約束さえも拒んだ」「これは理解できない。あまりにもかたくなではないか」
- 東京新聞「一日も早く解消せよ」(18日社説)
- 「来季セ、パ六球団の維持を求める選手会側に、『最大限の努力』さえ約束できないプロ野球組織側の姿勢は、ファンの目にも奇異に映るはずである。そもそも、パ・リーグが五球団になることが、不自然な状態なのである」
「読売新聞」は、「ファン裏切る“億万長者”のスト」(社説)のタイトルが示す通りで、中身を紹介する気にもなれない。
その中で、「球団側の被る損失は数十億円という試算もある」と書いているが、この数十億円を仮に60億円だと仮定すると、12球団全体で2試合で60億円なのだから、シーズン全体ではその70倍、つまり4200億円になり、計算すれば、1球団の年間売り上げは平均350億円になる。
つまり、仮に、読売新聞の社説が正しいとすれば、球団側は年間数百億円稼いでおきながら、選手の年棒合計が20億円あまりという状況で、年間40億円もの赤字を出しているということだ。これでは、赤字の原因を選手の年俸高騰のせいすることはできない。つまり、この数字が正しければ球団側が経営的にまったく無能だということであり、そうでなければ、天下の読売新聞がデタラメな数字をあげて、読者をだまそうとしているか、どちらかということだ。
ストにたいしてどんな立場を取ってもいいが、根拠のない数字を上げて、選手会を攻撃するのはメディアの責任放棄としか言いようがない。
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