選手会とプロ野球組織(NPB)とが合意し、ストを構えた交渉は妥結しました。大阪近鉄バッファローズの選手にとっては、合併を認めざるをえず、残念な結果になってしまいましたが、さらなる球団合併、1リーグ制へという“流れ”を差し止めることができて、本当によかったですね。
ともかく古田選手、磯部選手をはじめ選手会のみなさん、本当にご苦労さまでした。
プロ野球:ストは回避 選手会とNPBが合意
プロ野球パ・リーグのオリックス・ブルーウェーブと大阪近鉄バファローズの合併問題で、日本プロ野球選手会(古田敦也会長=ヤクルト)と日本プロ野球組織(NPB)は23日、前日に続いて名古屋市内で協議・交渉委員会(団体交渉)を開き、来季からの新規参入など7項目で合意し、25、26日に予定していた第2波ストの回避が決まった。選手会が両球団の合併を認める一方、NPBは来季、セ・パ両リーグ12球団に戻すことを視野に、新規参入球団を速やかに審査する。プロ野球史上初めて行われたストはひとまず終結したが、今後は、新規参入球団の決定や営業譲渡される近鉄の選手の受け入れなどが課題となる。
新規参入では、既に加盟申請したインターネット関連業「ライブドア」(堀江貴文社長)と、24日に申請するインターネット上の電子商店街を運営する「楽天」(三木谷浩史社長)の2社があり、来月中に審査が行われる見通し。2社のうち1社が来季からの参入を認められることになる。
約7時間にわたって行われた交渉では、新規参入について▽12球団の代表らで構成する実行委員会の下部組織として「審査小委員会」を設置し、約1カ月をめどに実行委員会及びオーナー会議に答申する。06年以降の審査は、第三者を委員とする「新規加入球団審査委員会」(仮称)を設置する▽現行の加盟料(60億円)、参加料(30億円)を撤廃し、預かり保証金(25億円を10年後に返却)制度を導入する??など、具体的な方法が決まった。
その上で、審査は適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り開示し、透明性の確保に努めることを確約した。
さらに、近鉄選手会が強く要望していた選手の移籍の希望を考慮することもNPB側が受け入れた。プロ野球改革についても構造改革協議会(仮称)を設け、1年かけてドラフト改革や選手年俸について協議することになった。【湯浅聡】▽古田敦也・選手会会長 ストを決断した時には、重大な責任と覚悟を持って決めたつもり。この結果が最高のものかどうかには、いろんな意見があると思うが、大きな改革案であり、システムだと思う。球団が一つなくなるんじゃないか、という危機に直面したが、何とか新規参入の道を切り開いてもらった。いい内容で合意できたと思う。
▽瀬戸山隆三・選手関係委員長 選手会の皆さんには、シーズン中にもかかわらず交渉の場に何度も足を運んでいただき、感謝申し上げたい。正直、ホッとしている。選手会とともに、今後の球界発展のため、ファンのために努力していきたい。代替試合と損害賠償請求のことについては検討中としか申し上げられない。近日中に決めたい。<合意書全文>
日本プロフェッショナル野球組織(以下「NPB」という)と、日本プロ野球選手会(以下「選手会」という)は、次の通り合意する。
- NPBは来季(2005年シーズン)に、セパ12球団に戻すことを視野に入れ、野球協約31条、32条に基づくNPBの参加資格の取得に関する審査(以下「審査」という)を速やかに進め、適切に対応する。
- 審査は、実行委員会の下部組織として組織される「審査小委員会」が担当し、審査開始後1カ月をめどに実行委員会及びオーナー会議に答申する。来年以降行う審査については、第三者を委員とする新規加入球団審査委員会(仮称)を設置する。
- NPBは、現行野球協約の加盟料・参加料を撤廃し、預かり保証金等の制度を導入する。
- 審査は、適正・公平に行い、小委員会の審査過程を可能な限り開示するなど、透明化に努める。
- 審査小委員会の答申に基づいて、実行委員会及びオーナー会議が、来季参入を可とした場合は、NPBは、その参入が円滑になされるよう最大限の協力をする。
- 新規参入が決まった場合、分配ドラフトへの新規参入球団の参加を認め、統合球団のプロテクト選手(2巡目、3巡目の指名選手を含む)を除いて柔軟に対応する。また、既存球団は、新規参入球団と既存球団との戦力均衡を図るため、新規参入球団に協力する。
- NPBは、選手会との間で、プロ野球構造改革協議会(仮称)を設け、1年間をかけて、ドラフト改革、エクスパンション・ドラフト制度の導入、選手年俸の減額制限の緩和などについて徹底的に協議する。
[毎日新聞 2004年9月23日 18時53分]