今年4月、イラク人質事件に関連して、「反日的分子」発言をした自民党の柏村武昭参院議員(広島選挙区選出)のところへ、勤務時間中に抗議文をファクス送信した教員がいるとして、県教委が、県立高校など約80校の校長に指示して調査させていたことが明らかになりました。
公職にある政治家は、どんな批判でも甘んじて受けるのが当然であって、それを思想調査まがいのやり方で圧力をかけようというのは絶対に許されません。
反日的分子:発言の抗議ファクス 広島県教委が調査を指示(MSN-Mainichi INTERACTIVE)
まあ、もちろん、業務時間中に学校のファックスで抗議文を送るなんて、あまりに無警戒というべきか。ファックスなら送信元はすぐ分るし、ばれれば攻撃されるのは明白なのに。しかし、県教委単独では、そういうことを業務時間中にやった教員がいるということを知ることはできない訳で、この調査が柏村議員からの圧力によるものであることは明白であり、そちらこそ問題にすべきです。
反日的分子:発言の抗議ファクス 広島県教委が調査を指示
広島選挙区選出の柏村武昭参院議員(自民)が今年4月、イラクで人質になった日本人を指して「反日的分子」と発言した問題で、広島県教育委員会が、同議員の事務所へ勤務時間中に抗議文をファクス送信した教員がいるとして、県立高校など約80校の校長に指示して調査させていたことが24日、分かった。抗議が殺到した柏村議員の事務所が、文部科学省や県教委に調査を求めたのを受けたものだが、教員の思想や言論の調査にもつながりかねず、論議を呼びそうだ。
同議員は4月26日の参院決算委員会の中で、人質になった平和活動家ら3人について「反日的分子のために数十億円もの血税を用いることに強烈な違和感、不快感を持たざるを得ない」と発言。直後から、東京にある同議員の事務所には、ファクスや電子メール、はがきなどの抗議が相次ぎ、約3000件に達したという。
このうちの一部について事務所は、「教員が勤務中にファクス送信しているのではないか」として文科省や県教委に調査を依頼、届いたファクスも渡した。事務所は理由について「批判は受け止めるが、(職務専念義務違反の)問題があると考えた」と話している。
これを受け、県教委は5月下旬、抗議文から送信が疑われた約80校の校長に、勤務時間中のファクス使用状況や教員らが抗議文を送っていないかを調べるよう通知し、ファクスの送信履歴の調査も指示。しかし、抗議文に個人名の記載がなく、勤務時間に送信した記録はあっても、発信者の特定はできなかった。
同県教委の田中聡明・教職員課長は「違反の恐れがあるとの情報を受け事実把握の調査をした。たとえ1分でも職務義務違反にあたる」と説明。
調査を受けた県立高校の男性教員は「憲法が保障する思想や良心、言論の自由はどこにあるのか。ファクスを送ることが教務に影響するものではない」と反発している。【小山内恵美子】東京大大学院の高橋哲哉教授(哲学)の話 教員側にもまずい点はあったと思うが、政治的圧力を受けての調査など論外。県教委側には、教育基本法改正の動きの中で抗議をしにくくし、萎縮(いしゅく)させる目的もあったのではないか。
[毎日新聞 2004年9月25日 3時00分]
はじめまして。
僕も広島に住んでいたことがあったので、柏村氏には注目していたのですが、反日的分子発言には情けない思いがしました。
政府の方針(この場合はイラクからの退避勧告)に逆らった人、すなわち「反日的分子」とは…。
伊藤博文、山県有朋みたいな明治時代の元老たちでさえ、こんな単純な政治観は持っていなかったはずです。
こんな人物が国会議員になっていると思うと、暗然たる思いになります。
>まあ、もちろん、業務時間中に学校のファックスで抗議文を送るなんて、あまりに無警戒というべきか。
これはおっしゃるとおり。
今後とも顔を出させていただきます。宜しくお願いいたします