中国人強制連行で和解―大江山ニッケル鉱山訴訟

第2次世界大戦中の中国人強制連行大江山ニッケル鉱山訴訟(東京高裁)で、原告と被告企業・日本冶金工業との和解が成立。和解金は、原告1人あたり350万円、計2100万円。昨年1月の京都地裁一審判決では、強制連行の違法性は認めたものの、被害から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」を理由に請求を棄却していました。

和解の成立は、2000年11月の花岡事件訴訟(東京高裁)に続いて2件目。国は和解を拒否したため、訴訟は継続されます。

中国人強制連行訴訟 大江山鉱山 原告と日本冶金工業和解(毎日新聞)

中国人強制連行訴訟 大江山鉱山 原告と日本冶金工業和解

 第二次世界大戦中に大江山ニッケル鉱山(京都府加悦(かや)町)に強制連行され、過酷な労働を強いられたとして、劉宗根さん(74)ら中国人男性6人(うち2人は死亡し遺族が継承)が国と日本冶金工業(本社・東京都)に計1億3200万円の損害賠償などを求めた訴訟は29日、大阪高裁(下方元子裁判長)で同社との和解が成立した。原告1人当たり350万円、計2100万円の解決金を同社が支払う。和解を拒否した国との訴訟は継続する。
 戦時中、中国人の強制連拘者は約4万人に上り、各地で同様の訴訟が相次いでいるが、企業側との和解成立は00年11月の花岡事件訴訟(東京高裁)に次いで2回目。原告代理人は「他の訴訟に与える影響は大きい」と評価している。
 昨年1月の京都地裁判決は「原告らを違法に拘束した」として国と同社の共同不法行為を認定。同社に不当利得返還義務があると認めたが、被害から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」などを理由に請求を棄却していた。
 大阪高裁の下方裁判長は同12月、「控訴人も高齢になり、早期解決が何より望まれる」と和解を勧告。国は拒否したが、同社側は「和解による解決が強制労働問題の全面的な解決となる」、原告側も「強制連行・労働の事実と違法性が明らかにされ、国が和解に同意しない中での会社側の誠意を評価する」などとして和解を受け入れた。【一色昭宏】
<日本冶金工業総務部の話>
 原告の方々が高齢になっていることを考え、長期審理を避けることが重要であるとの裁判所の考えに賛同し、和解に応じることにしました。
◇「和解実現の意義は大きい」弁護団事務局長が評価
 小林務・弁護団事務局長は大阪司法記者クラブで会見し、「国や多くの企業が戦後補償問題を解決しようとしない中、和解が実現した意義は極めて大きい」と評価した。
 戦後59年。原告6人のうち既に2人が亡くなり、4人の平均年齢は80歳を超える。14歳で河南省から強制連行された劉さんは、昨年9月の控訴審の初弁論で「当時は衣服に紙をはさんで寒さをしのぎ、飢えと疲労に耐えた。帰国すると一家は離散していた」などと訴えていた。今年8月に弁護団が訪中し、和解方針を伝えると「今のままでは死んでも死に切れないと思っていた。安心しました」とほっとした様子だったという。(毎日新聞) – 9月30日9時57分更新

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