米軍F15戦闘機2機が空中接触して嘉手納基地に緊急着陸した事故について、「琉球新報」はこんなふうに報道しています。「基地ある限り危険性はなくならない」「生活より生命の安全が一番だ」「県内どこで事故が起きてもおかしくない」――これが沖縄の実感なんだということがよく分かります。
“上空の恐怖”再び 米軍F15空中接触
4日に起きた米軍F15空中接触事故は、米軍基地周辺に住む住民に、衝撃を与えている。住民は約50日前に普天間基地の近くで起きた米軍ヘリ沖国大墜落事故の問題を積み残したままの米軍機の事故に「基地ある限り危険性はなくならない」「生活より生命の安全が一番だ」「県内どこで事故が起きてもおかしくない」と“上空の恐怖”にやるせない思いを募らせている。
米軍嘉手納基地のすぐそばに住む嘉手納町屋良の池原吉治さん(48)は「普天間のヘリ墜落事故があったばかりで、驚いている。中学1年生の時のB52爆撃機の墜落事故を思い出した。あの事故は今でも心に傷として残っていて、事故の話を聞くと、また落ちないか不安になる」と話し、「きょうも朝から戦闘機が飛んでいる。普天間と一緒で、住民感情が無視されている。基地がある限り危険性はなくならない。1日も早く、基地の返還・整理縮小を進めてほしい」と強調した。
一家で製造業を営む北谷町宮城の男性(70)は「沖国大の事故も片づいていないのに、耐えられない。基地がある限り事故が繰り返されるのはどうしようもなく、常に油断できない。不景気のさなかに、生活の危険まで考えるのは大変だ。基地の経済効果を言う人もいるがそれは2番目で、生命の安全がまずは第一。飛行を減らして静かな空にしていくためにも、県民が協力して声を上げないといけない」と話した。
宜野湾市新城自治会の渡名喜シゲ会長(67)は「米軍はどういうつもりか。沖国大事故の事故原因も分からないまま、また嘉手納基地から戦闘機が離陸したと聞き、怒りを抑えられない。沖縄に安全な場所はなく、子どもたちのことを思うと怖くなる」と訴えた。
同市我如古自治会の島袋清会長(52)も「沖国大への墜落に続いて、また米軍機事故かと驚くと同時に、あきれるような思いだった。こうなると県内のどこで墜落事故が起きても不思議ではなく、基地撤去しか解決法はない」と語気を強めた。◇きょう午後緊急会合 嘉手納町議会基地対策委
【嘉手納】米軍F15空中接触事故を受け、嘉手納町議会基地対策特別委員会(中川京貴委員長)は5日午後3時から、緊急に委員会を開く。沖縄市議会も同日午後、基地に関する調査特別委員会を招集する。
町基地特委では事故に関する情報収集や、要請活動などの今後の対応を協議する。
中川委員長は「空中で接触すること自体、常識では考えられない。実際にどういう状況だったのか、飛行回数が過密になっていることが原因で事故を起こしたのかなど、情報を収集して対応を検討したい」と話した。[琉球新報?10月5日15時32分更新]