金曜日、日本フィルハーモニー交響楽団の第546回定期演奏会に行ってきました(サントリーホール)。
プログラムは、以下の通りです。指揮は、下野竜也さんでした。
- 猿谷紀郎:潦(にわたずみ)の雫
- シューマン:交響曲第4番 ニ短調 作品120
- ウェーバー:劇音楽《トゥーランドット》作品37より 「中国風序曲」「行進曲」
- ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
最近の日フィルは、弦の響きがよくなっていて、今日も、とくに2曲目のシューマンの交響曲第4番がなかなか聴かせる演奏でした。4曲目のヒンデミットは、僕の好きな作曲家ですが、“本歌取り”の元歌であるウェーバーのトゥーランドットからの曲と並べての演奏と、プログラムもなかなか趣向が凝らされていて、楽しませてもらいました。
指揮の下野さんは1969年生まれの若手。ちっちゃい身体をいっぱいに使った精力的な指揮振りで、好演でした。演奏終了後も、なかなか御本人が中央に出ようとせず、オケのパートをたたせるなどするばかりで、最後に楽団員から催促もされてようやく指揮台にのぼってお辞儀をされると、大きな拍手を集めていました。
1曲目の「潦の雫」では、舞台には、オーケストラとともに、音はマイクで拾わず生のままでというオーケストラの常識に反して、PAとスピーカーが置かれていました。日フィル委嘱作で初演ということですが、ぞわぞわ、もぞもぞ、ぎゅるるるる…という、いわゆる現代音楽です。作曲者自身による解説には「長い間漠然と『美しいもの』を尋ねてきた」とありますが、僕は、この手の現代音楽が苦手で、どこが「美しい」のか分からないままでした。
2曲目のシューマンの交響曲第4番は、交響曲といっても全曲が切れ目なく演奏され、時間もせいぜい30分程度という短い曲です。重々しい感じの序奏と、「生きいきと」という指示のある第1楽章の主部部分とが、対照を示しながらからみあう感じが印象的です。演奏でも、2つの対照がバランス良く、楽しませていただきました。
それにしても、客席は、欲目にも半分ほどしか埋まっていない、という感じ。シューマンはともかく、ウェーバーとヒンデミットではやっぱりお客さんは集まらない…ということなのでしょうか。好演だっただけに、残念でなりません。
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