NHKの世論調査によると、自衛隊のイラクへの派遣を延長することについて、「賛成」が26%だったのにたいし、「反対」が63%と3分の2近くを占めました。
「反対」の理由としては、「サマーワが安全だという前提が崩れた」29%、「日本人がテロ事件に巻き込まれる危険性が高まっている」26%、「派遣そのものに憲法上問題がある」23%など。
それにしても、自衛隊のイラク派遣という憲法にかかわる根本問題でこれだけ反対がありながら、内閣支持率が50%を超える不思議。支持理由のトップが「他の内閣より良さそうだから」(54%)ということからも分かるように、ばく然とした“期待感”やマスコミが描き出す“改革イメージ”による部分が大きいというのが正直なところでしょう。
内閣支持率上昇 54%に
NHKが、今月5日からの3日間、全国の20歳以上の男女を対象に行った世論調査によりますと、小泉内閣を「支持する」と答えた人は、先月より9ポイント上がって54%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は、4ポイント下がって38%でした。
NHKは、今月5日からの3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で、世論調査を行いました。調査の対象になったのは2112人で、このうち57.1%にあたる1207人から回答を得ました。
それによりますと、小泉内閣を「支持する」と答えた人は、先月より9ポイント上がって54%でした。これに対し、「支持しない」と答えた人は、先月より4ポイント下がって38%でした。小泉内閣を支持する理由としては、▽「他の内閣より良さそうだから」が最も多く54%、▽「実行力があるから」が17%、▽「支持する政党の内閣だから」が11%などとなっています。逆に、支持しない理由では、▽「政策に期待が持てないから」が45%、▽「人柄が信頼できないから」が19%、▽「実行力がないから」が16%などとなっています。小泉内閣に最も期待することとしては、▽「年金制度改革」が最も多く29%、▽「景気対策」が23%、▽「経済の構造改革」が12%などとなっています。
次に、イラクで香田証生さんが武装グループに拘束され殺害された事件に対する政府の対応について聞いたところ、▽「支持する」が33%、▽「どちらかと言えば支持する」が同じく33%、▽「どちらかと言えば支持しない」が14%、▽「支持しない」が12%でした。「どちらかと言えば支持する」を含め、「支持する」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「武装グループの要求を拒否しつつ、人質の救出に全力をあげたから」が最も多く42%、▽「罪のない民間人の命と引き替えに、自らの要求を通そうとする行為は許されないから」が26%、▽「テロに屈しないという強い姿勢を貫いたから」が同じく26%でした。逆に、「どちらかと言えば支持しない」を含め、「支持しない」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「イラク戦争を支持した政府に、事件に対する大きな責任があるから」が40%、▽「人質の解放に向けて、武装グループ側と十分な交渉ができなかったから」が33%、▽「人質の人命を最優先に考え、自衛隊の撤退を検討して欲しかったから」が23%でした。
次に、小泉総理大臣が、イラク戦争を支持した政府の対応に問題がなかったという認識を示していることについて、▽「支持する」と答えた人は33%、▽「支持しない」と答えた人は51%、▽「わからない」は16%でした。そして、来月14日に期限が切れる自衛隊のイラク派遣を続けることに、賛成か反対か聞いたところ、▽「賛成」が26%、▽「反対」が63%、▽「わからない」が11%でした。「賛成」と答えた人に、理由を聞いたところ、▽「日本にとって中東地域の安定は重要であり、自衛隊は積極的に国際貢献すべきだから」が44%、▽「イラクの復興に取り組む国際社会の中で、威信の低下につながるから」が28%、▽「ここで撤退すれば、日米同盟に亀裂が生じるから」が13%、▽「イラクからの外国軍の撤退を求めるテロリストの要求に屈したことになるから」が11%でした。逆に、「反対」と答えた人に理由を聞いたところ、▽「自衛隊の宿営地があるサマーワが安全だという前提が崩れ、復興のための貢献も十分できていないから」が29%、▽「自衛隊の派遣で隊員や日本人がテロ事件に巻き込まれる危険性が高まっているから」が26%、▽「自衛隊の派遣そのものに憲法上問題があるから」が23%、▽「これまでの1年間に及ぶ自衛隊派遣で、十分、役割を果たしたと思うから」が19%でした。[ NHK 11/08 18:31 ]