自民党の「憲法改正大綱」の原案が明らかになりました。
まず第1に、憲法3原則は守ると言いながら、自衛軍の保持を明記し、集団的自衛権――つまりアメリカと共同での軍事行動もおこなうとするのは、まったく矛盾している。
また、基本的人権を保障すると言いながら、天皇を「国家元首」とする、国家緊急事態における基本的人権の制限を主張するなど、復古的・国家主義的側面が濃厚だ。
集団的自衛権の行使容認、自民が憲法改正大綱原案
自民党憲法調査会(保岡興治会長)がまとめた憲法改正大綱の原案が16日、明らかになった。
安全保障では、「自衛軍」を設置し、集団的自衛権の行使や国際貢献活動における武力行使を認めているのが特徴だ。天皇制に関しては、天皇を元首と位置付け、現在は認められていない女性天皇を容認している。新しい人権として、肖像権や知る権利などを追加した。
主要政党の中で、憲法改正の包括的な案をまとめたのは今回の自民党が初めて。同党はさらに議論を進め、来年11月に憲法改正草案を決定する方針で、与野党の改憲論議は加速しそうだ。
大綱の原案は、今年1月に始まった同調査会の論議を基に、調査会幹部がまとめた。前文のたたき台となる「基本的考え方」のほか、「総則」から「改正」まで9章からなる。
現憲法にはない総則では、憲法の3原則として、国民主権と基本的人権の尊重、「積極的に国際平和の実現に寄与する」とした「新たな平和主義」を明記した。さらに「国旗は日章旗、国歌は君が代とする」との内容を盛り込んだ。
憲法9条に代わり、「平和主義」の章で、戦争放棄と非核3原則を盛り込み、「国家緊急事態及び自衛軍」で、具体的に〈1〉個別的、集団的自衛権を行使するための必要最小限度の戦力を保持する自衛軍を設置する〈2〉自衛軍は、国際貢献のため、武力行使を伴う活動をも任務とする――と定めている。
天皇については、「日本国の元首」と明記し、「皇位は、世襲のものであって、男女を問わずに皇統に属する者がこれを継承する」としている。
「基本的な権利・自由および責務」では、国民に国家の独立と安全を守る責務を課す一方で、徴兵制を禁止。新しい人権としては、名誉権やプライバシー権、肖像権、知る権利、犯罪被害者等の権利を列挙した。さらに、家庭について、「社会生活において不可欠な共同体」として保護することを定めている。
統治機構では、現憲法で内閣に属するとしている行政権について、「首相に属する」とし、首相の行政に関する権限を明確にした。国会は2院制を維持するものの、衆院の優越性を強化した。参院で否決された法案を衆院が再議決して法律とする要件について、現憲法の「衆院の3分の2以上」から「衆院の過半数」に引き下げた。参院議員は閣僚になれないとの規定も盛り込んでいる。地方自治については、道州制を導入し、自治体を道州と市町村、新たに設ける自治区(仮称)の3種類とした。改正手続きについては、現憲法より緩和し、衆参両院の総議員の過半数の賛成で、国民投票に付すことができるとした。
また、司法裁判所とは別に、法律などが憲法に適合するかを決める「憲法裁判所」を新設するとしている。
(読売新聞) – 11月17日3時4分更新
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