小泉首相の靖国参拝は「公的」

小泉首相の靖国神社参拝について、総理大臣としての「職務行為」としておこなわれたものとする判決が、千葉地裁でありました。

ただし判決は、首相の靖国参拝で「信教の自由」が侵害されたとする原告の訴えは認めず、具体的な権利侵害がなかったとして憲法判断はおこないませんでした。

首相の靖国参拝は「公的」 千葉地裁、憲法判断を回避(東京新聞)

東京新聞のこの記事によれば、小泉首相の靖国参拝についての裁判は6つおこされ、すでに5つ判決が出されています。結果は、小泉首相の2勝3敗。そのうち、「公的で憲法違反」とした福岡地裁判決(4月)は確定しています。

首相の靖国参拝は「公的」 千葉地裁、憲法判断を回避
職務行為だが権利侵害なし

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝は憲法違反に当たるなどとして、千葉県の宗教者ら63人が首相と国に計630万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁の安藤裕子裁判長は25日、参拝を公的なものと認め「国家賠償法上の職務行為に当たる」との判断を示した。
 その上で原告の主張する「信教の自由の侵害」は認めず「具体的な権利や法的利益に対する侵害はなく、参拝の客観的違法性を判断する必要はない」と憲法判断を回避、賠償請求は棄却した。原告側は控訴する。
 小泉首相の参拝を公的と認定した判決は、2月の大阪地裁、4月の福岡地裁に続き3例目。チリでの日中首脳会談で中国の胡錦濤国家主席が「参拝は日中間の政治的障害」と指摘しており、内外の反響を呼びそうだ。
 判決理由で安藤裁判長は、参拝が職務行為に当たるかどうかについて、内閣総理大臣の肩書で記帳したことや公用車の使用、秘書官らの同行を挙げ「職務行為に該当しないよう配慮した跡もうかがえない」と述べた。
 特に肩書については「公私の区別で疑いがあったのに、あえて肩書を付けた」と指摘。政府内の検討で参拝日時を変更したことにも触れ「公的参拝」と結論付けた。
 一方で「靖国神社への参拝を強制されるなど、信教の自由に対する不利益な取り扱いはない」とし、原告が主張した「宗教的人格権」についても「抽象的で憲法上保障されているとはいえない」と退けた。
 判決によると、小泉首相は2001年8月13日、靖国神社を参拝。「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳し、名入りの献花料として私費で3万円を支払った。
 裁判で国側は「私的参拝で、政教分離原則には違反しない」と反論していた。
 小泉首相の靖国参拝をめぐる訴訟は東京、那覇など6地裁で起こされ、判決は5件目。いずれも請求を棄却したが2月の大阪地裁判決は、この日の千葉地裁と同様、公的参拝を認定(原告側控訴)。4月の福岡地裁判決は「参拝は公的で憲法違反」と判断した(確定)。3月の松山地裁と5月の大阪地裁の判決は請求を全面的に退け、原告側が控訴した。[東京新聞 2004年11月25日]

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