読売新聞の世論調査で、貧富の格差が大きくなっていると回答した人が55%(「どちらかと言えば」を含む)を占めました。都市住民ほど強く感じる傾向があり、また年代別には50代が61%と最も高くなっています。また、自分の生活を「中の下」「下」とする人は34%で、10年前より11ポイント増えた、とのこと。
「貧富の格差が小さい」と言われてきた日本で、過半数の人が「格差が拡大している」と感じるようになったということは、なかなか深刻な事態かも知れません。
「一億総中流意識」に揺らぎ…読売世論調査
日本社会で豊かな人たちと、そうでない人たちとの間の「貧富の差」が大きくなっていると感じる人が過半数に達していることが、暮らし向きについて尋ねた読売新聞社の全国世論調査(11月13、14日実施、面接方式)でわかった。
自分の生活レベルを、「中の下」「下」と答える人も10年前より10ポイント以上増えている。バブル崩壊後の厳しい経済情勢の中で、成果主義の導入や、「勝ち組」「負け組」意識などの広がりを背景に、日本人の「一億総中流意識」に揺らぎが見え始めている。
「貧富の差」が「大きくなっている」という人は、「どちらかといえば」を合わせ55%で、逆に「小さくなっている」は計8%。「変わっていない」は34%だった。
格差が「大きくなっている」は、大都市部では62%にのぼるなど、大きな都市の住民ほど強く感じる傾向がある。年代別では、50歳代が61%と最も格差を実感している。
現在の自分の生活水準を、「上」「中の上」「中の中」「中の下」「下」の5段階から選んでもらったところ、「中の中」51%が最多だったものの、10年前の同調査より2ポイント減少。「中の下」と「下」は計34%で、11ポイント増えた一方で、「中の上」と「上」は計14%で9ポイント減少しており、自分の生活レベルを下の方に位置づける人が増えている。
第2次オイルショックの1979年以降を5年ごとに見ると、こうした傾向は、経済環境が悪化したバブル崩壊後の94年を境に目立ってきた。
97年には、消費税率や医療費自己負担の引き上げなど一連の負担増で、立ち直りかけた日本経済が失速。97―98年には、山一証券の自主廃業や日本長期信用銀行の一時国有化など、金融機関の破たんが相次いだ。2001年には、完全失業率が初めて5%を突破、こうした経済情勢が、国民の中流意識にも変化を与えているようだ。
格差意識の広がりについて、佐藤俊樹・東大助教授(日本社会論)は「企業に能力主義や成果主義が広がり、社会も個人も厳しい競争にさらされている。著名人の華やかな生活をもてはやす『セレブ』ブームなども影響しているだろう。平等意識が薄れてきた中で、それぞれの階層意識も、少しずつ下の方に感じるようになってきたとみられる」と話している。[読売新聞 11月29日21時41分更新]
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