フィリピンから日本への看護師の労働派遣が認められるようになるということで、フィリピンでは、医師が看護師になって「海外流出」する動きが生まれているというニュース。
以前、インドの看護師がアメリカなどへ「流出」しているという話もニュースになっていました。途上国にしてみれば、社会的な費用をかけて養成したのに、医師・看護師になったとたん、海外へ行かれてしまったのではたまったものではありません。逆に、先進国の側からいえば、養成のためのコストを負担することなく、医師や看護師が調達できる訳で、言い方を変えれば、アメリカや日本など先進国が、自国が負担すべき医師・看護師養成のコストを途上国に押しつけている、ということができます。
比の医師、看護師になり海外へ 「高収入で安定」と(朝日新聞)
比の医師、看護師になり海外へ 「高収入で安定」と
日本への看護師の労働派遣が将来認められることになったフィリピンで、医師から看護師に転身する人が続出している。フィリピン人の看護師は米国や英国なども受け入れており、高収入の外国で働くためだ。フィリピンの医師の国家試験にトップで合格した成績優秀者も、看護師に転じて米国行きを宣言。拍車がかかるフィリピンの「頭脳流出」を物語る。
南部バシラン島生まれのエルマー・ハシント氏(29)で、1825人が受けた国家試験で1位だった。看護師の資格を持っていたが、米国の看護師の資格試験にも合格。来年春に看護師として米国に渡る予定だ。
米国の病院が看護師として払う給与は1時間あたり21ドル(約2200円)だが、手当などを含めた収入は約30ドル。フィリピンでの医師収入は1日あたり1000ペソ(約2000円)だった。「医師の給料は低すぎる。米国で看護師として認められれば、家族も米国で暮らせる。つらい決断だったが、安定した自分の将来を考え、米国に行く」という。同氏はルソン島中部の大学で、米看護師資格の講義をしている。生徒には、恩師だった40代の医師3人がいる。
比国立保健協会によると、94年以来、海外に出た看護師は10万人を超す。過去4年間に5万人を超すなど、流出傾向は加速している。医師が看護師に転じるケースが目立ち、00年から3500人以上の医師が看護師として出国した。現在は約4千人の医師が看護学校に通っているという。「国内の医療システムの危機」(同協会のタン博士)との指摘もある。
しかし、高収入をあてにした頭脳流出は今後も続きそうだ。日本政府はフィリピンの看護師に対して門戸を開くことを決めている。高校時代の4年間、東京郊外に住む日本人女性の援助を受け、ミンダナオ島の私学に通っていたハシント氏は「米国などよりもだいぶ遅れたが、新しく看護師になる人には朗報だ」と話している。[朝日新聞 12/13 07:18]
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