現場の半数が「脳死が妥当な死の基準か分からない」

朝日新聞の調査によれば、「脳死が妥当な死の判定法かどうか」という質問に、「はい」と答えたのは臓器提供に関連する医療スタッフのわずか39%。これにたいし、47%が「分からない」と答えて、依然として「脳死」判定法が日本社会に「死」の基準として定着していないことを示しています。

脳死は妥当? 現場の半数「わからない」 (asahi.com)

医師だけに限ってみても、23%が「わからない・無回答」というのは、欧米の5%に比べ相当な割合。

また、臓器提供の賛否にたいする答えでも、一般論としての賛成が68%なのにたいし、自分の家族が提供者になることへの賛成は45%、自分が提供者になることへの賛成は34%、自分の子どもが提供者になることへの賛成はわずか4%。日本人の“ホンネ”と“建て前”の違いなのか、それとも、「臓器提供」を希望していると、決定的な場面で適切な救命治療がおこなわれない可能性を医療関係者がよく知っているからなのでしょうか。

脳死は妥当? 現場の半数「わからない」

 臓器提供に関連する全国の医療スタッフ約5000人を対象に、「脳死は妥当な死の判定法か」と質問したところ、半数近くが「わからない」と答えたことが、厚生労働省の研究班(班長・大島伸一国立長寿医療センター総長)の調査でわかった。欧州での同様の調査では8割が「妥当」と答えており、日本の医療現場では、脳死の受け入れや理解が低いことがわかる。
 調査は、脳死や心臓死からの臓器提供が国内でなぜ伸びないかを探るのが狙い。01?04年にかけて、脳死から臓器提供ができる病院や腎臓移植に携わる全国の病院のうち29施設の医師や看護師、事務職らに質問。欧州8カ国で実施された同様の調査と比べた。(小数点以下四捨五入。厚生労働省研究班病院意識調査から)

はい いいえ 分からない・無回答
日本 39 15 47
欧州 82 8 11

 「脳死は妥当な死の判定法か」に「はい」は日本で39%、欧州で82%。「わからない・無回答」がそれぞれ47%、11%、「いいえ」が15%、8%だった(小数点以下四捨五入、以下同)。
 「わからない・無回答」を職種別にみると、日本では医師が23%、看護師が50%を占めた。欧州では医師は5%にとどまっており、日本では死を判断する医師でも、脳死の受け止め方に開きが大きいことがわかる。
 また、臓器提供の賛否について、「一般論では賛成」は68%だが、自分の家族が提供者になることに賛成は45%、自分が提供者となることに賛成は34%に低下。自分の子どもが提供者になることに賛成の回答者は4%にとどまった。欧州では、自分の子どもの提供に賛成が42%、それ以外はいずれも80%以上の賛成という結果だった。
 調査では、脳死判定や臓器提供の申し出に関する訓練を受けたことがある医師は、全体の10%以下との結果も出た。大島班長は「医療者の脳死の理解が予想よりもはるかに低かったのはショックだ。臓器提供の話を進めるには医療関係者への教育が必要だ」と話す。 医学的、社会的に人の死をどこで線引きするかは臓器提供のみならず、終末期医療のあり方にも通じる。医療現場の意識は、今後の臓器移植法や尊厳死法案の議論の中で重要なポイントとなる。[asahi.com 01/10 14:21]

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