日歯連(日本歯科医師連盟)の1億円ヤミ献金事件で、検察審査会は、橋本龍太郎元首相、野中広務元自民党幹事長、青木幹雄同党参議院会長の3人の不起訴処分を不当と議決しました。
橋本氏ら不起訴不当 日歯連ヤミ献金で検察審査会が議決(東京新聞)
橋本氏ら不起訴不当 日歯連ヤミ献金で検察審査会が議決
日本歯科医師連盟(日歯連)から自民党旧橋本派への一億円のヤミ献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で告発され、不起訴などとなった橋本龍太郎元首相(67)、野中広務自民党元幹事長(79)、青木幹雄同党参院議員会長(70)について、東京第二検察審査会は27日までに、不起訴不当を議決した。民主党が3人を告発し、審査を申し立てていた。
議決によると、旧橋本派の政治団体「平成研究会」(平成研)代表だった橋本元首相は入院中に秘書や幹部と面会しており、日歯連に領収書を出さないことや、収支報告書に記載しないことについて報告を受けていると思われるうえ、検察の取り調べが形式的で再捜査が必要としている。
また、滝川俊行元会計責任者(56)が有罪判決を受けているのに代表者が嫌疑不十分は、国民の間では通用せず、検察当局は臆(おく)することなく、もっと掘り下げ広く捜査すべきだとしている。
一方、野中元幹事長については、元会計責任者が虚偽の収支報告書を提出するにあたって指示を仰いだ幹部の1人。元官房長官村岡兼造被告(73)が起訴されていることを考えれば、野中元幹事長も起訴すべきで、青木参院議員会長は不記載を決めた平成研の幹部会の一員であり、当然責任があるとしている。
告発状などによると、橋本元首相ら3人は2001年7月、日歯連から平成研あてに1億円の小切手を受け取ったが、同年分の政治資金収支報告書に収入として記載せず、総務相に提出したとされる。
[東京新聞 2005年1月27日]
検察審査会というのは、「検察審査会法」に基いて、「公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図るため」(第1条)に、地方裁判所および地方裁判所支部の所在地に置かれるもので、当該地域の有権者11名をもって構成(第4条)し、「検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査」(第2条)などを「独立して」(第3条)おこないます。検察審査会が、不起訴不当(さらに詳しく捜査すべきである)もしくは基礎相当(起訴すべきである)と議決した場合、検事正は「その議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料するときは、起訴の手続をしなければならない」(第41条)と定められています。
検察審査会を舞台にした小説として、佐野洋『検察審査会の午後』(新潮文庫)が有名。テレビドラマ化もされたはずです。