アメリカ、新型核弾頭の開発着手

アメリカ政府が、新型核弾頭の開発に着手したと、米紙が報道。老朽化が進む既存の弾頭と置き換えるのが目的と説明されていますが、新たな核実験の懸念が広がっています。また、従来の「使える」小型化路線から「高信頼性」に転換し、大型化・重量化する、そのためミサイルの新規開発も必要になるとの指摘も出されています。

米国:新型核弾頭の開発に着手 米紙報じる(毎日新聞)

米国:新型核弾頭の開発に着手 米紙報じる

 【ワシントン和田浩明】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は7日、米国が新型核弾頭の開発に着手したと報じた。米国家核安全保障局によれば、老朽化が進む既存の弾頭と置き換えるのが目的。米議会と政府の承認が得られれば、5?10年後には原型が製造されるが、同局は「核実験は行わないことが目標」と話しているという。核軍縮派は「新弾頭は軍備競争を再燃させかねない」と批判している。
 同紙によれば、開発は昨年11月に米議会が承認した「高信頼性置換弾頭」プログラムに沿って行われている。約900万ドル(約9億4000万円)の予算で、ロスアラモス、ローレンス・リバモア、サンディアの3カ所の国立研究所の約100人が関与している。
 小型軽量化を追求してきた過去の開発とは違い、時間の経過とともに核物質などの劣化が起こりにくく、生産が容易な弾頭の設計を目指している。結果として、新弾頭は、より重く、頑丈な構造で、プルトニウムよりウランを使用したものになると見られる。
 同紙によると、米国が保有する約1万発の核弾頭は、生産以来、設計寿命である約15年が過ぎているものも多い。安全性や使用時の信頼性に対する懸念の声の高まりが、今回、新弾頭開発が始まった背景にあるという。
 米国はブッシュ元政権時代の92年以来、核実験のモラトリアム(一時中止)を維持しており、保有核弾頭の信頼性は、過去の実験で蓄積されたデータなどを使ったコンピューターシミュレーションや、臨界前核実験などで確認している。
 国家核安全保障局は、新開発弾頭が製造された場合でも実験は行わない方針だという。しかし、核軍縮推進派は「実験は必要になるし、重くなった弾頭を運搬するミサイルなどの再設計で多額の費用が必要になる」などと指摘している。[毎日新聞 2005年2月7日 19時49分]

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