連日テレビを騒がしていますが、どうも、ライブドアを応援しようという気がしません。それは、今日の「毎日新聞」社説が指摘していましたが、堀江社長が、いまの時代にメディアと報道はどうあるべきと考えているのかまったく分からないからです。それなしに「インターネットとの融合」というだけなので、何となく「もっと儲けたい」という話にしか聞こえてこないのです。
社説:ライブドア問題 公正でオープンな視点が必要
(前略)
政府や東証は、制度的な不備を見直す方針を示している。それは当然、進めるべきことだが、方法が不意を突いているからとか、メディアは公共のものだからということで、新興勢力の参入自体を批判する方向に向かっているのは、いささか了見が狭いのではないだろうか。
堀江社長は連日のようにテレビに出演して主張を展開している。しかし、放送や新聞といったメディアの運営については、インターネットとの連動を強調するばかりだ。メディアがどのような役割を果たし、今後はどうあるべきかなどについて、考えを具体的に示すべきだろう。
通信と放送の融合の中でメディアを取り巻く環境が大きく変わっており、メディア企業を囲い込む動きはこれからも続きそうだ。
ライブドア問題は、公正でオープンな視点が必要だ。
[毎日新聞 2005年2月23日 東京朝刊]
しかしだからといって、フジ・サンケイグループの側を応援する気にもなれません。実際のフジ・サンケイグループが特異な政治的立場をとっていることは天下周知のこと。NHK特別番組改編問題でも、サンケイは、政治家の介入は当然だという、およそジャーナリズムとしては考えられない立場をとっています。だから、「企業乗っ取りで、報道機関の公共性が犯される」と言ってみても何の説得力もありません。
奇しくも、メディアは、一方で、政治家の圧力・介入という問題に晒され、他方で、企業買収という経済的圧力に晒されるということになっています。しかし、現場の記者たちが、いったいこの問題をどう考えているのか――それもなかなか見えてきません。それが残念でなりません。
ところで、ニッポン放送は、フジテレビを引受先として新株予約権を発行するという新しい「対抗手段」を打ち出しました。しかし、本当にこの権利を全部行使しようとしたら、資本金1,062億35万円のフジテレビがニッポン放送に2,808億円支払うことになるのですから、はたして本当に「対抗策」になるのかどうか。
フジ、ニッポン放送を子会社に…新株予約権を引き受け(読売新聞)
フジ、ニッポン放送を子会社に…新株予約権を引き受け
フジサンケイグループのラジオ局であるニッポン放送は23日、同社株を大量に買い集めているインターネット関連会社ライブドアに対抗し、フジテレビジョン(フジテレビ)を引受先として、ニッポン放送株を最大で4720万株新たに取得できる権利(新株予約権)を3月24日に発行すると発表した。
フジテレビも引き受ける意向だ。ニッポン放送の発行済み株式は3280万株のため、ライブドアが市場でどんなに買い集めても過半数を確保できず、フジは実施中の株式公開買い付け(TOB)の結果にかかわらず、子会社化できる。ただ、ライブドアが新株予約権の発行差し止めを求めて仮処分を申請する可能性があり、決着にはなお曲折が予想される。
発表によると、新株予約権は3月25日から株式への転換が可能で、転換価格はフジが実施中のニッポン放送株のTOBの買い付け価格(1株5950円)と同額だ。フジテレビが新株予約権をすべて行使した場合、ニッポン放送に2808億円を支払う。
ライブドアのニッポン放送株の保有比率は21日現在で約37.7%だが、新株予約権がすべて行使されれば、比率は約15%まで低下する。逆に、フジテレビの保有比率はTOBの結果にかかわらず、6割以上となり、子会社となる。
ニッポン放送の亀渕昭信社長は23日夕、都内での記者会見で「ライブドア傘下になると、フジサンケイグループから離脱せざるを得なくなり、企業の価値が損なわれる」と述べ、株主の理解を求めた。
さらに「ライブドアがニッポン放送の株式を大量取得した経緯は不透明で、違法の疑いもある手段をちゅうちょなく用いるライブドアが支配株主となることは、マスコミとしての高い公共性と両立しないと判断した」としている。
ただ、一企業の支配権を排除する目的で増資を行うことには、商法上問題があるとの指摘もある。ライブドアが発行差し止めを求める仮処分申請に踏み切る可能性も強いが、フジテレビの日枝久会長は会見で、「訴訟を起こされるのであれば、受けて立つ」と述べた。
一方、ニッポン放送は同日、所有するフジテレビ株22万株を大和証券SMBCに2月25日から約2年間貸し出すことも決めた。
フジテレビがニッポン放送株の25%超を保有した場合、商法の規定でニッポン放送が持つ22.51%のフジテレビ株の議決権が消滅する。そうすると、フジテレビへの外国人議決権比率が、電波法で禁じられている20%超となる可能性がある。大和証券SMBCに貸し出すことで議決権も一緒に移るため、結果的にフジテレビへの外国人議決権比率が上昇するのを抑える狙いだ。[読売新聞 2月23日21時43分更新]
<ライブドア>保有40.5%に ニッポン放送株
ライブドアの保有するニッポン放送株が議決権ベースで約40.5%に達したことが23日、分かった。ライブドアが同日、関東財務局に提出した21日現在の株式等の大量保有変更報告書によると、発行株式ベースでライブドアが取得した株式の保有割合は37.65%。ただし、ニッポン放送によると、発行済み株式の中には議決権のない株式が含まれるため、それを除いた議決権ベースでは40.53%になるとみられる。【後藤逸郎】[毎日新聞 2月23日14時40分更新]
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GAKUさん、TBありがとうございました。
ちょうど新しいエントリーを投稿したところだったので、改めてTBさせていただきました。
昨日のフジ側の対抗策、さすがにビックリしましたが、はてさてどうなんでしょうね。
フジの対抗策が違法行為だとしても、僕はほりえもんを応援する気にはなりません。だからと言ってフジを応援する気もないですが。
うちのblogにも書きましたが、今回のフジの行動はそれが違法と認定されようが、株主から訴えられようが、あるいは厳しい批判にさらされようが、ライブドアを絶対に排除するという強い意志の表れであると思っています。
これほどの強い意志・覚悟を持っているフジに対抗できるほどの強い意志なり覚悟なりをほりえもんが持っているとは到底思えません。
>かんきちさん
TB & コメントありがとうございます。
今回の対抗策に関して言えば、最初に「増資すればすむこと」と言い出したのはホリエモンですからねぇ。ある意味、自業自得という面もなきにしもあらず…です。
しかし、ニッポン放送の新株引換権による第三者割当増資は、表向きは「フジ・サンケイグループから離れたら、企業価値がなくなるから」と言っていますが、問題は、それが裁判所で認められるかどうかです。お互いに限りなく黒に近い“灰色”の手段の応酬ということになりそうです。
素人の目から見ても、ライブドアの目算違いは明白。ホリエモンお得意のスピードが生かせず、さて一体どうするつもりなんでしょうねえ。
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はじめまして。
今回の件はどうもホリエモンがメディアを甘く考えすぎのような気がします。
江川紹子さんのブログにホリエモンへのインタビューがあり、読んだのですが、新しいメディアを作る気はさらさらなく、一般の人の信用性を確保する為には、既存のメディアの力が必要だからと言う内容でした。結局、現在の新聞・テレビが歪曲した報道をしているのに一般人はそれを真実だと思っているのだから、自分が国民の信用性がほしくて新聞社を持ってもいいじゃないか?と言う風に行っているように聞こえました。
こんな考えでは素人でも提携なんて嫌ですし、ましてやニッポン放送のいう「企業価値の低下」は確実だと思います。
法廷ではお互いグレーな部分の争いだと思いますが、もう少しホリエモンの言動を追及して報道してみれば彼の意図が提携ではないと読み取れるような気もします。
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