インドネシアで発見された小型の新種の化石人類が、高度な知能を持っていたという話。脳の容量400ccというのは猿人並みなんですが、脳の形は原人に近く、発掘調査の結果も火や道具を使った痕跡があるということで、新種の化石人類ではないかいうのです。
しかし、人類学では、ピルトダウン人捏造事件という“前歴”もありますからねぇ…。今後に注目したいと思います。
新種人類:体はサル、脳はヒト並み インドネシアで発見(毎日新聞)
新種人類:体はサル、脳はヒト並み インドネシアで発見
インドネシア・フロレス島で見つかった新種の人類「ホモ・フロレシエンシス」の脳が、猿人ではなく、より進化した原人に近いことが、米、豪、インドネシアの共同研究チームの調査で分かった。前頭葉などが大きく人間らしい特徴を備えており、高い生活水準を示す発掘結果と一致する。4日発行の米科学誌「サイエンス」に発表した。
ホモ・フロレシエンシスは、身長1メートルと背が低く、脳容量は現代人の3分の1の約400ミリリットル。脳や体の大きさから猿人と分類されるが、発掘調査で判明した生活様式は火や道具を使うなど高度だったため、「特殊な進化をたどった新種の原人」との見方が強まっている。
米フロリダ州立大のディーン・フォーク教授らは、発掘された頭がい骨を基に、コンピューター上に脳を三次元画像で再現し、チンパンジーや猿人、ジャワ原人、現代人などと比較した。その結果、脳と体の比率は猿人(アウストラロピテクス)に近いが、脳の形はジャワ原人などと似ていた。
また、猿人やチンパンジーに比べ、創造性や計画性などの高次認知機能を担う前頭葉と側頭葉が大きい特徴も見られた。チームは「脳は小さいが、認知・処理能力は高かった」と推測している。
国立科学博物館の馬場悠男・人類研究部長は「脳は小さくても知的レベルは原人とほぼ同じだということを示す、納得できる結果だ。おそらく原人が熱帯の孤島にやってきて、独特の環境と生活様式に合わせて小さな体格に進化したのだろう」と話す。【元村有希子】<ホモ・フロレシエンシス>
国際研究チームが03年、フロレス島の洞くつ内の1万8000年前の地層から、多数の人骨を見つけた。コモドオオトカゲや小型ゾウを狩って暮らしていたと推定される。1万2000年前まで生存した可能性があり、高度な技術を要する後期旧石器も見つかっている。
[毎日新聞 2005年3月4日 4時09分]