読売新聞によれば、米空母「キティホーク」艦載機の拠点基地を、神奈川県厚木基地から山口県岩国基地に移すことで調整がすすんでいるらしい。
厚木基地の周辺では、艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)のため、激しい騒音被害が生じている。
米艦載機の拠点を厚木→岩国、優先協議へ
政府は6日、在日米軍再編で、米空母「キティホーク」艦載機が利用する拠点基地について米側との協議を優先させ、拠点基地が確定してから、それ以外の米軍施設の再編協議に取り組む方針を決めた。
艦載機の拠点基地は現在、米海軍厚木基地(神奈川県大和市など)だが、日米両政府は米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)に移すことを軸に調整を進めている。
空母が母港に帰港する際は通常、艦載機は沖合から陸上基地に飛来し、基地で機体の整備や補給、離着陸訓練などを行う。空母の出港時も、基地から沖合まで飛来して着艦する。
キティホークは横須賀が事実上の母港で、帰港の際は艦載機約70機は厚木基地に臨時に駐機する。厚木基地は市街地に位置していることから、周辺自治体は「騒音が著しい」などとして、艦載機の拠点基地をよそに移すことを求めている。
日米関係筋によると、米側は日本に対し「空母への速やかな飛来が可能な範囲内であれば厚木にこだわらない」として、日本政府が国内で厚木以外の拠点基地を設けることを正式に提案すれば、同意する意向を示しているという。一方、厚木に代わる拠点基地の候補に浮上している岩国市では、「騒音被害が拡大するのは確実だ」などと反対する声が多い。
政府は、主に厚木で実施していた夜間離着陸訓練(NLP)の90%以上がすでに硫黄島で行われていることや、国が航空機の騒音緩和などを目的に進める岩国基地の滑走路沖合移設工事が2008年度に完成予定であることなどから、岩国市側に理解を求めていく方針だ。
神奈川県内の米軍施設をめぐっては、このほか、米陸軍第1軍団司令部(米ワシントン州)のキャンプ座間(神奈川県相模原市など)への移転を米側が打診している。また、2008年以降の退役が決まっているキティホークの後継艦をめぐり、神奈川県や横須賀市が、原子力空母を配備しないよう求めている。◆夜間離着陸訓練(Night Landing Practice)=米空母艦載機のパイロットが着艦技術を維持・向上するため、滑走路を空母の甲板に見立て、離着陸を繰り返す訓練。厚木基地では2004年2月と7月に計4日間、今年は1月に4日間実施された。
[2005/3/7/03:24 読売新聞]