昨日、浦和の埼玉会館で、ヴェルディのオペラ「イル・トロヴァトーレ」を見てきました。というか、大学時代の友人がイネス役で登場するということで、応援に行ってきました。(^^;)
「トロヴァトーレ」は、レオノーラという女性をめぐって、吟遊詩人のマンリーコとルーナ伯爵とが対決する話と、マンリーコの母であるジプシー(ロマ族)のアズチェーナが、先代のルーナ伯爵に処刑された母親の復讐を遂げるという話とが、複雑に絡み合ったオペラです。アズチェーナが、復讐のためにルーナ伯爵の息子(現在のルーナ伯爵の弟)をさらってきたのだけれども、動転のあまり自分の息子を火の中に投げ込んでしまう、それでアズチェーナは、敵の息子だったマンリーコを我が子として育てる、それを知らないマンリーコが実の兄であるルーナ伯爵と恋敵となり対決する――「お?、なんという運命の悪戯!」と言うわけです。(^^;)
でも最初にストーリーを知った時は、いくら動転してても、間違えて我が子を火に投げ込んだりはしないだろう…と、あまりの荒唐無稽な展開に、とてもついていけそうにありませんでした。
しかし、実際にオペラを見ていると、そんな荒唐無稽な展開も納得させられてしまうから不思議です。それは、やっぱり“ナマの迫力”ということでしょうが、アズチェーナ役の坂本朱さんの演技に引き込まれていったという部分もあります。
当日の舞台は、書き割りなどいっさいなく、ホリゾントの照明の色やスポットのあて方などで効果を出していました。その代わり、衣装は、イタリアからもってきたというだけあって、豪華で貫録がありました。その分、お客さんは自然と舞台上の登場人物に集中することができたのではないでしょうか。第4幕でレオノーラが「悲しみの溜息よ」を歌う時に雪を降らせるという演出は、ちょっと臭いというか、あまりに日本情緒的過ぎるかなぁと思ったりもしましたが、あとになって思い返してみると、なかなか効果的でした。
トロヴァトーレというオペラは、こんなふうにストーリーとしては相当に陰惨なお話なんですが、レオノーラが切々と歌う愛の歌や、第2場のジプシーの合唱(「アンヴィル・コーラス」)、第3場でマンリーコが歌う「おお、そうだ!愛しい人」「恐ろしい火炙りの火が」など、有名な曲がたくさんあって、僕も、この1カ月ほどくり返しくり返し聴いていたら、自然と口ずさんでしまうような印象的な曲ばかりです。でも、対訳を読むと、けっこう凄まじい歌詞だったりして、その“ギャップ”が、なかなか大変なのです。(^^;)
昨日の公演では、場・幕の変わり目だけでなく、それぞれの曲が終わるたびに、ブラボー(あるいはブラバー、ブラビー)のかけ声がたくさんかかってました。死ぬの殺すのという歌の直後で、僕的には、違和感もありましたが、現田さんの外連味たっぷりの演奏とあいまって、会場は盛り上がってました(だいたいピットの指揮台から、現田さん自身が拍手してたし)。まあ、そんな不条理やらギャップやらを、いともやすやすと乗り越えていってしまうのが、ヴェルディのオペラの魅力なのかも知れません。神奈川フィルの演奏は、第1部、第2部はちょっと??な印象があったのですが、休憩後はまったく気にならなくなりました。
ところで、イネス役の友人ですが、歌う場面は、第2場の最初と終わりだけと短かったのが残念。レオノーラ役の木下美穂子さんの侍女という役でしたが、これは演出もあるのでしょうが、舞台のセンターで、しっかりと存在感をアピールしてました。しかし、イネスは第2幕で最初の歌い出しになるので、見てる方は、ちゃんと歌えるかなと心配になって、けっこう緊張しました。(^^;) お疲れ様でした。そして、これからも頑張ってくださいね。応援しま??す!
※休憩後の第3場で携帯鳴らしてたお客さんがいたなぁ? 休憩中に携帯の電源を入れて、そのまんま忘れてたんでしょうね。鞄の中か、ポケットなのか分かりませんが、持ち主さんは鳴ってる携帯を放置。すぐ切れるかと思いきや、けっこうしつこく鳴ってました。みなさん、携帯の電源はお忘れなく…。
【公演情報】ヴェルディ:吟遊詩人?イル・トロヴァトーレ/キャスト:レオノーラ=木下美穂子、マンリーコ=松本薫平、ルーナ伯爵=黒田博、アズチェーナ=坂本朱、フェルランド=新保暁司、イネス=中前美和子、ルイス=吉田伸昭、老ジプシー=笹倉直也/管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団/合唱:埼玉オペラ協会合唱団/芸術総監督:諸井誠/音楽監督・指揮:現田茂夫/芸術監督・演出:高島勲/埼玉会館大ホール/3月6日15:00?18:00
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トラックバックありがとうございます。神奈川フィルと現田氏、よかったでしょう?。私は、今上り坂のこのオケを私たちのオケとして大変に応援しています。
ところで、これに限らずオペラの筋は大体台本を読むとくだらないか、無理があるものが多いですね。「フィデリオ」や「椿姫」なども音楽がなければ私には全然魅力に感じません。音楽によってこの筋が全く別の意味を持ちますよね。私も戸惑います。まだワーグナーなどはましな方ですが、「魔笛」などは悪者のはずがいい奴だったり、何でもありの世界。つくづく音楽は不思議だと思います。
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私のつたないブログにトラックバックして頂き、ありがとう御座います。
今回のオペラは、私にとって
一生忘れられないものになりました。
今、子ども達にオペラってこんなに楽しんだよって言いまくっている最中です。(爆)
真剣に聞いている彼等を見ていると、
きっといつかオペラに感心を持ってくれるかなと淡い期待をしています。
これを機会にオペラをたくさん楽しみたいと思います。
またいつかどこかでお会いしましょう。
では。。。。。。
はじめまして、GAKUさん。先日はTBありがとうございました。すばらしい舞台だったようで、とてもうれしく思います。つたないにっきでありますが、またお立ち寄りくださいね♪
トラックバックありがとう御座いました。
初めてのオペラに感動しまくって、
子どもみたいな日記にトラックバックして頂き
本当にありがとう御座います。
これからも、オペラがもっともっと好きになるように
頑張りたいと思います。
では。。。。。
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