アメリカ国防総省が、4年ごとにおこなう「国防戦略見直し(QDR)」報告の作業を、日本やイギリスなどと協議しておこなう方針を表明。といいつつ、日本やイギリスの言い分を聞いてくれるという訳ではなさそう。むしろ、予め日本やイギリスにアメリカの望むところをふくませた上で、国防戦略を決めようということでしょう。
ところで、QDRの基礎となる「国家防衛戦略」報告は、冒頭で「米国は戦争状態にある」と宣言。まあ、アメリカがアメリカ自身についてどんなふうに宣言してもかまわないけれど、そこから「積極的・多層的な防衛体制」を目指すとして、勝手にあれこれの国を攻撃して、「同盟国」日本をそれに動員するとしたら、たまったもんじゃない。北朝鮮についても、引き続き「先制攻撃の権利」をもつとしていますが、なぜアメリカにだけ「先制攻撃」の権利が認められるの?
米国防総省:国防戦略見直し、日英など同盟国と協議へ(毎日新聞)
米国防総省:国防戦略見直し、日英など同盟国と協議へ
【ワシントン和田浩明】米国防総省のファイス次官(政策担当)は18日、来年初めに発表予定の「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」報告の策定作業を、同盟国と協議して行う方針を明らかにした。英国や日本などが対象とみられる。QDR策定で米国が他国と協議するのは初めてで同盟関係のいっそうの強化を目指す動きといえる。
ファイス次官は、米国の安全保障政策の中心課題である対テロ戦争の遂行には「他国政府にしか対処できない分野」があると説明。「作戦だけでなく、戦略の策定でも協力したい」と述べた。
ファイス次官はまた、QDRの基礎となる「国家防衛戦略」報告を発表した。ラムズフェルド国防長官の指示でまとめられたもので、単独先制攻撃を容認した02年の「国家安全保障戦略」を補完する内容になる。
同報告は冒頭、「米国は戦争状態にある」と規定。21世紀の国防戦略の4大目標として▽直接攻撃からの米国防衛▽重要地域での行動の自由の確保▽他国との協力関係の強化▽好ましい国際秩序に向けた安保環境の確立――を設定し、同盟国などとの協力を通じ「積極的・多層的な防衛体制」を目指すと表明した。
米国の脅威としては、国際テロ組織「アルカイダ」や北朝鮮などに言及。特に北朝鮮について「伝統的で、不規則かつ破滅的な脅威だ」と危険性を強調。さらに安保分野での国際協力をうたう一方、従来通り、先制攻撃の権利を持つことを確認している。
[毎日新聞 2005年3月19日 10時49分]