昨日、集会の後、日比谷のシャンテ・シネで「微笑みに出逢う街角」を見てきました。(今年7本目)
アンゴラ内戦で両親を殺された少女の写真がTIME誌の表紙を飾り、一躍注目を集めることになった若い写真家ナタリア。22年ぶりに出所してきた父親と対面するチェリストのキャサリン。車椅子の夫との生活に“疲れた”様子を見せるオリビア――。トロントの街を舞台に、3人の女性の“心の動き”をゆるやかに描いていきます。
ナタリアは、炎の迫った家の中の少女を助けず、シャッターを押してしまったことに強い罪の意識を感じる。キャサリンは、母親を殴り殺した父に銃を向ける。しかし、父親は「罪を犯すな」の言葉を残し家を出て行く。翌朝、キャサリンは、チンピラに襲われていた女性を助けようとして殺された遺体となった父親と対面する。オリビアは、夢に現われる“石から生まれ立つ人物像”のデッサンを描きつづけるが、やがて、その絵そっくりの塑像を作った女性作家を知る…。
そういう彼女たちの“心の動き”は、けっして、他者によって理解されたり共感されたりするようなものではなく、それゆえ、彼女たちは、それぞれの“思い”の相手と自分自身で対面することになる。そうすることによって、彼女たちは、初めて本当の自分に出逢い、本当の自由を手に入れる。そんなストーリーが、美しい映像と染みとおるような音楽によって描かれていきます。
ソフィア・ローレンは、これが映画出演100作目。1934年生まれなので、この映画が撮影された2002年には68歳。でも、美しいですねえ、やっぱり。
オリビアの夫ジョン役のピート・ポスルスウェイトが、昔は陸上競技のスターだったのに、車椅子の生活を余儀なくされた夫の、屈折した心理をたくみに演じています。そのほかにも、オリビアが語り合う公園の庭師マックスをフランスの名優ジェラール・ドパルデューが、ナタリアの父親で、やはり有名な写真家役をオーストリアのクラウス・マリア・ブランダウアーが、というように脇を固める男優人も名優揃い。キャサリンの父親を演じたマルコム・マクダウェルも、渋い演技が光ってました。監督のエドアルド・ポンティは、ソフィア・ローレンの息子だそうです。
邦訳タイトルよりも、原題“Between Stragers”の方が、作品の雰囲気をよく伝えていると思います。
【作品情報】脚本・監督:エドアルド・ポンティ/出演:ソフィア・ローレン(オリビア)、ミラ・ソルヴィーノ(ナタリア)、デボラ・カーラ・アンガー(キャサリン)、ピート・ポスルスウェイト(ジョン)、クラウス・マリア・ブランダウアー(ナタリアの父親)、ジェラール・ドパルデュー(公園の庭師)/カナダ=イタリア 2002年
面白そうな映画ですね。ぜひ見てみたいのですが、地方にはなかなかマイナーな映画は配給されないのが現状です。大きな映画館は有るのに有名タイトルばかりをいくつものスクリーンで何ヶ月にもわたって流すものですから、更に配給映画は絞られてしまいます。結局レンタルビデオ店などに入荷されるのを祈るしかありません。
それにしても洋画につく邦訳タイトルってどうしてこうセンスが無いのでしょうね(笑)
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